遺伝資源としてのウズラの可能性

(p.J221-J234)

総  説

佐 野 晶 子

農業生物資源研究所,茨城県つくば市池の台2 305-8602

 本研究では,遺伝資源としてのウズラの有用性および可能性について考える。ウズラを遺伝資源として保存し,さらに効率的に改良および利用するためには, ウズラ集団の遺伝的変異性について評価する必要がある。家畜化および系統分化に伴う遺伝子組成の動態について明らかにすることを目的として,ウズラ (Japanese Quail, Coturnix japonica)における集団内および集団間の遺伝的変異性の評価を行なった。本研究では,ウズラを集団維持の目的の差異から,野生ウズラと家禽ウズラ に分類した。家禽ウズラは,その原種である野生ウズラよりも高い遺伝的変異性をもっていた。また,多くの家禽ウズラにおいては近交係数が低い値であった。 したがって,家禽ウズラでは,改良のために系統融合が行なわれていることが推察された。遺伝的分化の程度については,家禽ウズラ集団間の方が野生ウズラ集 団間よりも大きかった。集団の遺伝的類縁関係については,枝分かれ図と散布図の結果から,野生ウズラと家禽ウズラはそれぞれ独立した1つのクラスターを形 成していた。以上のことから,ウズラは家禽化の歴史が新しいので,現在の家禽ウズラ集団の遺伝子組成は,全体として共通に変化している可能性が示唆され た。
 ウズラは,近交退化の影響を受けやすく,品種の確立が困難である。今後,品種を確立することは,産業だけでなく,実験動物としての利用からも緊急の課題 である。また,ウズラは近交退化の機構を解明する際の研究材料として適していると考えられる。さらに,ウズラは,希少鳥類の維持および増殖法の開発におけ るパイロット・アニマルや環境監視指標動物としても適していると考えられる。



キーワード : ニホンウズラ,野生ウズラ,家禽ウズラ,遺伝的変異性

ページトップへ

このホームページの著作権は日本家禽学会に帰属します。無断転載・転用は禁止いたします。
このホームページに関するご希望は e-mail: jpsa-s@naro.affrc.go.jp