2011年(48巻)第4号【HTML】

第4号(英文誌)

研究報告

飼料・栄養

採卵鶏における飼料タンパク質レベルとベタイン添加の関係 (要旨)
Jae-Hong Park・Kyeong-Seon Ryu


飼料または飲料水へのL-カルニチン添加がブロイラーの成長、産肉量および血清成分に及ぼす影響 (要旨)
Oso A Oladele・Fafiolu Adeboye・Sobayo Richard・Hameed Zainob


42日齢ブロイラーにおける成長、血清脂質、体成分および産肉量に及ぼすメチオニン添加低タンパク質飼料の給与および通常飼料再給餌の影響 (要旨)
Rattana Nukreaw・Chaiyapoom Bunchasak・Kanchana Markvichitr・Apassara Choothesa・Somkiert Prasanpanich・Wiriya Loongyai

飼料用セリンプロテアーゼはブロイラーの成長成績を改善し、タンパク質とエネルギーの消化率を上昇させる(要旨)
Fidelis Fru-Nji・Anna-Maria Kluenter・Morten Fischer・Katrine Pontoppidan


二ギ酸カリウムの給与が成長中のブロイラーの成長に及ぼす影響(要旨)
元木 徹・上曽山博・本田和久・長谷川信

(研究ノート)
AvBD-1およびchCATH-1遺伝子発現に対する飼料へのビタミンD3添加の影響.(要旨)
Gong-Wei Zhang・De-Bing Li・Song-Jia Lai・Shi-Yi Chen・Rong-Ping Lei・Ding-Gang Zhou


(研究ノート)
モミロマン籾米の化学組成,粗繊維と総エネルギーの消化率および代謝エネルギー(要旨)
シッチティヤ ジャンジーラ・山内 高円・諸隈 正裕


(研究ノート)
成長中ニワトリの初期炎症反応と抗体産生に及ぼす朝鮮人参と黄蓮給与の影響(要旨)
李 垠・秋葉征夫・佐藤幹・豊水正昭・高橋和昭

生理・繁殖

正常酸素状態および低酸素に暴露したニワトリの、体重に対する肺血管床重量及び肺重量比に関する計量的解析(要旨)
Rafael A. Areiza Rojas・Piedad C. Rivas López・Aureliano Hernández Vásquez


ニワトリ雄生殖器におけるトリβディフェンシン遺伝子発現および同タンパク質の局在の同定(要旨)
渡辺陽子・磯部直樹・吉村幸則


比内鶏DNA識別マーカーを用いた生殖系列キメラの判別(要旨)
力丸宗弘・伊藤なつき・中村隼明・高橋大希・小野愛美・小松恵・松原和衛



 

要 旨

 


第4号(英文誌)


二ギ酸カリウムの給与が成長中のブロイラーの成長に及ぼす影響

元木 徹・上曽山博・本田和久・長谷川信

神戸大学大学院農学研究科 神戸市 657-8501

ギ酸とギ酸カリウムの錯体である二ギ酸カリウム(KDF)は、ブタの成長成績を改善する。本研究では、成長中のブロイラーの成長、窒素出納、消化管内pH、盲腸における腸球菌、大腸菌群並びに乳酸菌の菌数、及び、液性免疫に及ぼすKDFの影響を調べることを目的とした。24羽のブロイラー雄雛を無作為に8羽ずつ3群に分け、抗菌性物質を含まない市販飼料(対照飼料、CP 23%、ME 3,000kcal/kg)、1%のKDFを含む対照飼料、或いは、抗菌性物質(サリノマイシン 50g 力価/t、 アビラマイシン 50g 力価/t)を含む対照飼料を28日齢まで給与した。KDFの給与は体重、ムネ肉、モモ及び手羽の重量を有意に増加させたが、肝臓及び腹腔内脂肪組織の重量 には影響しなかった。これらの結果は、KDFによる体重増加が筋肉量の増加に基づくものである可能性を示唆する。KDFの給与は、窒素出納に影響を及ぼさ なかった。又、KDFの給与は、消化管におけるpH、及び、盲腸における腸球菌、大腸菌群及び乳酸菌の菌数にも影響を及ぼさなかった。更に、赤血球凝集抗体価にも、KDFによる影響は認められなかった。これらのことから、KDFによる成長促進の機構は明らかではないものの、少なくとも成長の初期においては、KDFはブロイラーの成長を促進する可能性が示唆された。

キーワード:ブロイラー、成長、筋肉、有機酸、二ギ酸カリウム

 

モミロマン籾米の化学組成,粗繊維と総エネルギーの消化率および代謝エネルギー

シッチティヤ ジャンジーラ・山内 高円・諸隈 正裕

香川大学農学部応用生物科学科,香川県木田郡三木町, 761-0795

飼料米の一種であるモミロマン籾米(PR)の化学組成,粗繊維と総エネルギーの消化率および代謝エネルギーを決定するための飼養試験が行われた。化学組成では,PRは原物中で5.11%の粗蛋白質,1.83% の粗脂肪,68.04%の可溶無窒素物,10.54% の粗繊維を含んでいた。PRの総エネルギーは3.77 kcal/gであったが,これはトウモロコシとほぼ同じ値であった。
単飼用ケージにて飼育した15週齢の讃岐コーチン採卵用鶏雄(2.5 kg)8羽を用いて,真の消化率と代謝エネルギーを測定した。粗繊維と総エネルギーの真の消化率はそれぞれ38.65 と80.35%であった。見掛けの代謝エネルギーと真の代謝エネルギーは原物中でそれぞれ2.79 と 3.02 kcal/gであった。鶏におけるPRの見掛けの代謝エネルギー値はトウモロコシの見掛けの代謝エネルギー値よりも僅かに低い値であった。
今回の結果は,鶏用飼料配合に新情報を与えるものと思われ,PRは鶏用飼料においてトウモロコシの良き代替穀物粒源となることが示唆された。

キーワード: モミロマン,籾米,化学組成,消化率,代謝エネルギー

 

成長中ニワトリの初期炎症反応と抗体産生に及ぼす朝鮮人参と黄蓮給与の影響

李 垠1,2・秋葉征夫1・佐藤幹1,3・豊水正昭1・高橋和昭1,4

1東北大学大学院・農学研究科、仙台市、981-8555
2尚志大学校・健康科学学部、大韓民国、原州市
3東京農工大学大学院・農学研究科、府中市 183-0054
4山形県立米沢女子短期大学、米沢市 992-0025

野生型朝鮮人参と黄蓮給与がニワトリヒナにおける初期炎症反応と抗体産生能に及ぼす影響を検討した。1週齢の卵用種雄ニワトリに市販飼料、市販飼料に0.2%野生型朝鮮人参と黄蓮のエタノール抽出物を添加した飼料を3週間給与した。炎症反応はリポ多糖投与後の血液の急性期反応物質(セルトプラズミン、α1酸性糖タンパク質、一酸化窒素)と脾臓の炎症反応関連遺伝子発現(IL-1,IL-6,IFNγ,TL1A)から評価した。抗体産生はキーホールリンペットヘモシニアンに対する一週間後の抗体価で比較した。朝鮮人参給与は測定したすべての遺伝子発現において他の区と比較して低い値であった。また、セルロプラズミン濃度も低い値を示した。KLH抗体価は朝鮮人参または黄蓮給与により、無添加に比較して高い値を示した。これらの結果は朝鮮人参が初期の炎症反応を低減する作用を持ち、さらに抗体産生を高める作用も有することを示している。黄連は抗体産生を高める作用があることが示唆された。朝鮮人参の抗炎症作用の一部は炎症性サイトカイン発現の低下によることも示された。

キーワード:抗体産生、初期炎症、成長中ニワトリ、黄蓮、朝鮮人参、前炎症性サイトカイン

 

ニワトリ雄生殖器におけるトリβディフェンシン遺伝子発現および同タンパク質の局在の同定

渡辺陽子・磯部直樹・吉村幸則

広島大学大学院生物圏科学研究科,東広島市 739-8528

本実験はニワトリ雄生殖器において抗菌ペプチドのトリβディフェンシン(avBD)を介する自然免疫系の存在を示すことを目的とした。このために、精巣と精巣上体におけるavBD遺伝子発現をRT-PCR法で解析し、avBD-11とavBD-12タンパク質の局在を免疫組織化学的に同定した。RT- PCR解析では、14種のavBDのうち、精巣では9 種の avBD (avBD-3から-5, -7 および -9 から-13)、精巣上体では10種のavBD (avBD-1 から-5, -7 および-9から-12)の発現が認められた。精巣ではavBD-11の免疫反応産物がセルトリ細胞に検出された。精巣上体では精巣輸出管上皮にir-avBD-11とir-avBD-12が認められ、精巣上体管ではこれらは認められなかった。これらの結果は、精巣と精巣上体ではavBDが産生され、これを介する自然免疫系が形成されていることを示唆するものである。

 

比内鶏DNA識別マーカーを用いた生殖系列キメラの判別

力丸宗弘1・伊藤なつき2・中村隼明3, 4・高橋大希1・小野愛美2・小松恵1・松原和衛2

1 秋田県農林水産技術センター畜産試験場、秋田県大仙市神宮寺13-3 019-1701
2 岩手大学大学院農学研究科、岩手県盛岡市上田3-18-8 020-8550
3 信州大学大学院総合工学研究科、長野県上伊那郡南箕輪村8304 399-4598
4 日本学術振興会特別研究員、東京都千代田区1-8 102-8472

始原生殖細胞(PGCs)を利用した生殖系列キメラニワトリの作出法は、ニワトリ遺伝資源の保存・復元のための有効な手法である。現在、生殖系列キメラニワトリの判別は、検定交雑による後代の羽色の違いを利用した方法が主流であるが、この方法では判別に長期間を要するうえ、労力を費やす。そのため、より簡便でかつ精度の高い分子遺伝学的手法を利用したキメラの判別法の開発が求められている。そこで、本研究では、以前開発した比内鶏のDNA識別マーカーが、生殖系列キメラの判別に応用可能かどうか検証することを目的とした。比内鶏のDNA識別マーカーの一つであるABR0633を用いて、比内鶏と白色レグホンとの識別が可能であったため、これらをそれぞれドナーならびに宿主として用いた。比内鶏の初期胚生殖巣より採取したPGCsを白色レグホン胚の胚盤下腔あるいは血流中へ移植することにより、生殖系列キメラの作出を試みた。生殖系列キメラの判定が可能かどうか検証するため、雄の操作個体より精巣組織の一部を採取し、DNA解析をおこなった。続いて、性成熟した雄の操作個体より精液を採取し、DNA解析をおこない、同時に雌の比内鶏へ人工授精し、後代検定をおこなった。DNA解析の結果、いずれの操作個体においても部分採取精巣からドナー由来の対立遺伝子は検出されなかった。しかし、PGCsを初期胚血流中へ移植した雄の操作個体(2/2)の精液中からドナーに用いた比内鶏の対立遺伝子が検出された。後代検定の結果、上記の操作個体2羽からそれぞれドナーPGCsに由来する後代が得られた。また、羽色から比内鶏であると判断された後代より血液を採取し、DNAを解析した結果、ドナー由来の対立遺伝子のみが検出されたことから、形態学的ならびに分子遺伝学的に比内鶏であることが確認された。以上の結果から、比内鶏DNA識別マーカーは生殖系列キメラの判別に有効であり、本手法によって後代検定に要する時間や労力を削減できることが示唆された。

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