2010年(47巻)第3号【HTML】

第3号(英文誌)

総 説

鳥類バイオテクノロジー:生殖細胞による遺伝子改変からの考察 (要旨)
 Gwonhwa Song, Tae Sub Park, Tae Min Kim and Jae Yong Han

卵殻形成におけるマトリクスタンパクの役割 (要旨)
Maxwell T. Hincke, Yves Nys and Joel Gautron

研究報告

飼料・栄養

飼料タンパク質レベルが鶏の腸管各部位におけるアミノ酸の消化率に及ぼす影響 (要旨)
上曽山博・本田和久・久保心平・長谷川信

飼料脂肪レベルが鶏の腸管各部位におけるアミノ酸の消化率に及ぼす影響 (要旨)
本田和久・上曽山博・久保心平・本告友規・長谷川信

飼料蛋白質の不足が若齢鶏におけるIGF-I及びIGFBPsに及ぼす影響 (要旨)
長尾健二・平松浩二・塚田光・喜多一美

ブロイラーの各種能力、消化管特性、腸内細菌叢に及ぼす液状またはカプセル化乳酸の飼料添加効果 (要旨)
Muhammad H. Natsir, Osfar Sjofjan, Khotibul Umam, Abdul Manab and Eko Widodo

(研究ノート)
ブロイラーにおけるトウモロコシ-大豆粕或いはトウモロコシ-小麦-大豆粕飼料中のミートボーンミールの代謝エネルギー含量 (要旨)
Oluyinka A. Olukosi and Olayiwola Adeola

生理・繁殖

ブロイラーヒナの腸管におけるインターロイキン-6含有細胞の分布に及ぼすプロバイオティクス給与の影響  (要旨)
吉村幸則・織田美和・磯部直樹

免疫・衛生

組換え型ニワトリIgY-Fcの作出とその組換え体の卵黄輸送能の評価 (要旨)
BAE Hae-duck・本田寛幸・無漏田梨恵・小林美里・堀尾文彦・村井篤嗣

環境・管理

ブロイラー飲水に添加したエンロフロキサシンの薬物動態の比較評価 (要旨)
Hector Sumano, Arturo Cort?s-Cuevas, Rosario Cecilia and Lilia Guti?rrez



 

要 旨

 


第3号(英文誌)



飼料タンパク質レベルが鶏の腸管各部位におけるアミノ酸の消化率に及ぼす影響

上曽山博・本田和久・久保心平・長谷川信


神戸大学大学院農学研究科 神戸市 657-8501

腸管にフィステルを装着した鶏を用いて、飼料中のタンパク質含量の違いが腸管各部位におけるアミノ酸の消化率に及ぼす影響を調べた。鶏の空腸中央部、空腸遠位部、回腸中央部、回腸遠位部或いは直腸遠位部にフィステルを装着した。腸管内消化物をそれぞれの部位で採取し、消化物中のアミノ酸含量を測定した。10%区においては、空腸中央部における全てのアミノ酸の真の消化率は直腸遠位部のそれに比べ有意に低かった。15%区においては、空腸中央部における Asp, Thr, Glu, Pro, Gly, Val, Met及びIle の真の消化率は直腸遠位部のそれに比べ有意に低かった。20%区においては、空腸中央部におけるSerの真の消化率は直腸遠位部のそれに比べ有意に低かった。30%区においては、腸管部位間でアミノ酸の真の消化率に有意な差は認められなかった。空腸中央部における全てのアミノ酸の真の消化率は10%区で他の区より有意に低い値を示した。これらの結果から、飼料中のタンパク質含量は鶏の空腸中央部におけるアミノ酸消化率に影響を及ぼすことが明らかとなった。

キーワード:アミノ酸、消化率、腸、十二指腸、空腸、回腸

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飼料脂肪レベルが鶏の腸管各部位におけるアミノ酸の消化率に及ぼす影響

本田和久・上曽山博・久保心平・本告友規・長谷川信


神戸大学大学院農学研究科 神戸市 657-8501

腸管にフィステルを装着した鶏を用いて、飼料中の粗脂肪含量の違い(3%-10%)が腸管各部位におけるアミノ酸の消化率に及ぼす影響を調べた。鶏の空腸中央部、空腸遠位部、回腸中央部、回腸遠位部或いは直腸遠位部にフィステルを装着した。腸管内消化物をそれぞれの部位で採取し、消化物中のアミノ酸含量を測定した。3、5、及び8%脂肪区においては、個々のアミノ酸の消化率には腸管の部位間で有意な差は認められなかった。しかしながら、10%脂肪区においては、総アミノ酸の消化率が、空腸遠位部に比べ空腸中央部で有意に低い値を示し、個々のアミノ酸の消化率も、空腸遠位部に比べ空腸中央部で低い傾向を示した。空腸中央部における比較では、10%脂肪区における総アミノ酸及びメチオニンの消化率は、その他の試験区のそれに比べ有意に低い値を示し、メチオニンを除く総てのアミノ酸の消化率も、その他の試験区に比べ低い傾向を示した。これらの結果から、飼料中の脂肪含量は鶏の空腸近位部におけるアミノ酸の消化率に影響を及ぼすことが示唆された。

キーワード:アミノ酸、消化率、十二指腸、空腸、回腸

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飼料蛋白質の不足が若齢鶏におけるIGF-I及びIGFBPsに及ぼす影響

長尾健二1・平松浩二2・塚田光3・喜多一美4


1名古屋大学大学院生命農学研究科附属農場、愛知県愛知郡東郷町 470-0151
2信州大学農学部、長野県上伊那郡南箕輪村 399-4598
3名古屋大学大学院生命農学研究科、名古屋市千種区不老町 464-8601
4岩手大学農学部,岩手県盛岡市上田 020-8550

 飼料蛋白質含量を要求量である18%から0%まで変化させ、血漿IGF-I 濃度及び組織のIGFBP-2、IGFBP-4遺伝子発現に及ぼす影響を調べた。飼料蛋白質含量が18%から4.5%まで減少するのに伴って体重増加は徐々に低下し、無蛋白質飼料を摂取すると体重は減少した。飼料蛋白質含量が18%の時、血漿IGF-I 濃度が最も高くなり、飼料蛋白質含量の減少に伴って低下した。飼料蛋白質含量が18%から9%まで減少すると筋胃におけるIGFBP-2 遺伝子発現は上昇し、飼料蛋白質含量の更なる減少はIGFBP-2遺伝子発現を低下させた。飼料蛋白質含量の変化は肝臓におけるIGFBP-4遺伝子発現に影響を及ぼさなかった。重回帰分析において交互作用が検出されなかったことから、飼料蛋白質含量の異なる飼料を摂取したことによる体重増加の変化に対して、血漿IGF-I 濃度と筋胃IGFBP-2 遺伝子発現は独立して影響を及ぼすことが示された。

キーワード:飼料蛋白質、IGF-I、IGFBP-2、IGFBP-4

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ブロイラーにおけるトウモロコシ-大豆粕或いはトウモロコシ-小麦-大豆粕飼料中のミートボーンミールの代謝エネルギー含量

Oluyinka A. Olukosi and Olayiwola Adeola


Department of Animal Sciences, Purdue University, West Lafayette, IN 47907, USA;

実験は小麦を段階的に含むブロイラー飼料における高蛋白質ミートボーンミール(MBM)の見かけの代謝エネルギー(AME)或いは窒素補正された代謝エネルギー(AMEn)を測定する為に行なわれた。288羽の14日齢のブロイラーは、2段階のMBM(0及び80g/kg)及び3段階の小麦(0、100及び200g/kg)を含む6種の飼料区に無作為に分けられた。小麦はトウモロコシと大豆粕の一部と置換され、MBMは各小麦含量毎に0或いは80g/kg添加された。ブロイラーは7日間試験飼料を摂取し、19日齢から21日齢の間、糞が回収された。飼料当り200g/kgの小麦によるトウモロコシと大豆粕の置換は飼料の総NSP含量を11g/kg増加させた。トウモロコシ-大豆粕中の小麦含量が200g/kgまで増加した際にはAMEとAMEnの両者に 5%の減少が認められたが、この減少は有意なものではなかった。平均的には、小麦含量に関係なく、MBMのAMEとAMEnはそれぞれ 2,734kcal/kg及び2,586kcal/kgであった。飼料のAME及びAMEnは、トウモロコシ-大豆粕飼料に比べ、200g/kgの小麦を含む飼料において有意に高く、窒素排泄量はMBMを含む飼料で有意に多かった。我々の結果は、トウモロコシ-大豆粕飼料の一部を200g/kgまで小麦に置換してもMBMの代謝エネルギーには影響しないことを示唆する。

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ブロイラーヒナの腸管におけるインターロイキン-6含有細胞の分布に及ぼすプロバイオティクス給与の影響 

吉村幸則1・織田美和2・磯部直樹1


1広島大学大学院生物圏科学研究科,2生物生産学部, 東広島市鏡山 739-8528

この実験はブロイラーヒナへのプロバイオティクス給与が腸管のインターロイキン-6 (IL-6)とIgA含有細胞の分布に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした.Streptococcus faecalis,Clostridium buthricumおよびBacillus mesentericusからなるプロバイオティクスを初生時から10日齢まで給与し,十二指腸,盲腸袋部と扁桃部,結腸を採取した.これらの組織の切片を作製して,IL-6とIgAに対する免疫染色を施した.IL-6免疫反応産物は白血球様細胞に認められ(IL-6細胞),これらはすべてのヒナで粘膜上皮下,腸腺上皮下,粘膜固有層に多く分布し,また少数ではあるが上皮内にも認められた.IL-6細胞の分布密度は十二指腸より結腸で高い傾向を示した.プロバイオティクス給与区と対照区との間を比較すると,IL-6細胞の分布密度は5日齢では差を示さなかったが,10日齢では盲腸袋部と結腸でプロバイオティクス給与区が有意に高かった.IgA免疫反応産物は腸管各部の粘膜上皮と腸腺上皮に認められ,また盲腸扁桃部のリンパ組織にも検出された.しかし,これらの分布にはプロバイオティクス給与区と対照区との間で差は認められなかった.以上の結果から,プロバイオティクス給与は盲腸と結腸粘膜のIL-6細胞を増加させると考えられた.IL-6は免疫系に対して多様な生物機能を示すので,IL-6の分泌が高まると腸管粘膜の免疫機能に影響する可能性が推定される

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組換え型ニワトリIgY-Fcの作出とその組換え体の卵黄輸送能の評価

BAE Hae-duck・本田寛幸・無漏田梨恵・小林美里・堀尾文彦・村井篤嗣


名古屋大学大学院生命農学研究科 応用分子生命科学専攻 名古屋市 464-8601

トリの免疫グロブリンY(IgY)は哺乳類のIgGに相当し、母ドリの卵母細胞内へ高効率に輸送される。これまでに我々は、IgYの卵黄内への高効率輸送にはIgYのFc領域が必要であることを報告した。本研究では、組換え型ニワトリIgY-Fcを作出するとともに、作出した組換え体のトリ卵黄への輸送能を調査した。はじめに、二種類の発現ベクターを構築した。一つ目の発現ベクターは、ニワトリIgYの3つの定常領域を発現し(Fcu2-4)、この領域には重鎖間のジスフィルド結合に関わる3つのシステイン残基(C252、C340、C347)が含まれる。2つ目は、ニワトリIgYの2つの定常領域を発現し(Fcu3-4)、この領域には重鎖間のジスフィルド結合に関わる2つのシステイン残基(C340、C347)が含まれる。SDS-PAGEとウェスタンブロッティング法による分析により、両発現ベクターによって作られるFcu2-4とFcu3-4は非還元下で複数のバンドに分離されることが判明し、重鎖間のジスフィルド結合が正常に形成されていないと判断された。そこで、不完全なジスフィルド結合の形成を阻害するために、部位特異的変異挿入により C340とC347のシステイン残基それぞれをセリンへ変換した。SDS-PAGEにより、作出された4種類の組換え型IgY-Fcを分析した所、全ての組換え体が単一のバンドで検出された。これらの組換え体を産卵ウズラへ投与した所、Fcu2-4C347SとFcu3-4C340Sの2つの組換え体は卵黄へ高効率に輸送された。一方、残りの2つの組換え体、すなわちFcu2-4C340SとFcu3-4C347Sでは、前二者よりも、その卵黄輸送量が低くなった。以上より、トリ卵黄への高輸送能を保持した組換え型ニワトリIgY-Fcの作出に成功した。これらの組換え体は、トリ卵黄へのIgY輸送機構を解明する上で、有用な研究ツールとなるであろう。

キーワード:卵黄、IgY輸送、重鎖間のジスルフィド結合、ウズラ、組換え型IgY-Fc

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