2010年(47巻)第4号【HTML】

第4号(英文誌)

総 説

熱帯地域おける家禽生産をめざした交雑鶏 ニホンウズラ(Coturnix japonica)の細胞質型グルタチオンペルオキシダーゼ遺伝子のクローニングと発現
 Mohammed A. Islam・西堀 正英

研究報告

遺伝・育種

真珠斑ホロホロチョウと単冠白色レグホーンとの遺伝的類縁性 ニホンウズラ(Coturnix japonica)の細胞質型グルタチオンペルオキシダーゼ遺伝子のクローニングと発現
Samuel N. Nahashon, Akuley Amenyenu and Nathaniel Adefope

RNAi法を用いたWWP1遺伝子の抑制によるC2C12筋芽細胞の増殖効率減少 (要旨)
松本 大和・高浜 充寛・梶山 亮介・笹崎 晋史・大山 憲二・万年 英之

(研究ノート)
発生・成長にともなうニワトリおよびマウスの精巣におけるE2F1の遺伝子発現 (要旨)
Basha H. A. Ibrahim・安江 博・平岩典子・西堀正英

(研究ノート)
N-メチルアセトアミドを用いた八木戸精液の凍結保存 (要旨)
佐々木健二・巽俊彰・筒井真理子・新實竜也・今井隆雪・内藤充・田島淳史・西康裕

飼料・栄養

鶏肉のカルノシンおよびアンセリン濃度に対する血粉添加飼料の影響 JoongHyuck Auh, Nyun Namgung, KwangSuk Shin, SeWon Park and InKee Paik

トウモロコシとダイズ粕を基礎としたマッシュあるいはペレット飼料にフィターゼ添加したときのブロイラーにおける成長成績と栄養素利用性 (要旨)
Tofuko A. Woyengo, Adewale Emiola, Augustine Owusu-Asiedu, Wilhelm Guenter, Philip H. Simmins and Charles M. Nyachoti

ブロイラーヒナへのフコキサンチン経口投与は血漿中フコキサンチノール濃度と抗酸化能を上昇させるとともに肉色を改善させる (要旨)
佐々木啓介・石原賢司・山崎信・中島一喜・阿部啓之・小山田千秋・本山三知代・三津本充

(研究ノート)
ブロイラーの免疫応答指標に対する3種の免疫賦活化剤の影響 (要旨)
Seyed N. K. Miran, Mohammad A. K. Torshizi, Mohammad R. Bassami and Hamid Jandaghi Oluyinka A.

生理・繁殖

ニワトリ卵管子宮膣移行部における精子の刺激に伴うトランスフォーミング成長因子βの発現変化の解析:特に精子の生存に関連して (要旨)
Shubash C. Das・磯部直樹・吉村幸則

環境・管理

(研究ノート)
慢性暑熱ストレスに伴う成長と酸化傷害の肉用鶏と卵用鶏のタイプ間差 (要旨)
Kalam M.A. Azad・喜久里 基・Azharul M.Hoque・豊水 正昭



要 旨

 


第4号(英文誌)


RNAi法を用いたWWP1遺伝子の抑制によるC2C12筋芽細胞の増殖効率減少

松本 大和1・高浜 充寛1・梶山 亮介1・笹崎 晋史1・大山 憲二1・万年 英之1

1神戸大学大学院農学研究科、兵庫県神戸市灘区六甲台町 657-8501

WW domain containing E3 ubiquitin protein ligase 1 (WWP1) は不要なタンパク質を除去するユビキチンプロテアソームパスウェイにおいて重要な役割を担う酵素であり、これまでの研究によりニワトリ筋ジストロフィーの原因遺伝子と同定された。しかし、WWP1の突然変異が筋ジストロフィーを発症に導く機能は不明である。以前の研究で、C2C12筋芽細胞に野生型及び変異型WWP1遺伝子を導入した結果、WWP1遺伝子の過剰発現はMyHC Ia遺伝子の発現増加とMyHC IIb遺伝子の発現減少を導いた。一方、変異型WWP1遺伝子を導入した細胞では、MyHC遺伝子の発現様式が変化し、WWP1遺伝子の変異が筋分化の異常を導くことが示唆されたが、この機序は不明であった。そこで本研究ではRNAi法を用いてWWP1遺伝子を抑制し、C2C12筋芽細胞への効果を観察した。WWP1遺伝子の抑制により、WWP1遺伝子の変異とは異なる効果が表れた。すなわち、変異型WWP1遺伝子を導入しても細胞の増殖効率に差は見られないが、WWP1遺伝子を抑制すると細胞の増殖効率は有意に減少した。RT-PCR法により遺伝子抑制はWWP1遺伝子特異的に生じていることが確認され、C2C12筋芽細胞においてWWP1遺伝子は増殖効率をコントロールしていることが示唆された。以上の結果は、ニワトリ筋ジストロフィーの原因変異が WWP1の酵素活性を消失させず、それ故にWWP1遺伝子の抑制とその変異とで異なる効果が表れた可能性を示唆した。

キーワード:C2C12筋芽細胞,ニワトリ,筋ジストロフィー,RNAi,WWP1遺伝子

 


<aid=”y4-2″>(Research Note)

発生・成長にともなうニワトリおよびマウスの精巣におけるE2F1の遺伝子発現

Basha Heba Abdou Ibrahim1,2・安江 博3,4・平岩典子5・西堀正英1

1 広島大学大学院生物圏科学研究科,東広島市,739-8528
2 アレキサンドリア大学獣医学部,エジプト
3 独立行政法人農業生物資源研究所,つくば市,305-0901
4 (株)つくば遺伝子研究所,土浦市,305-0873
5 独立行政法人理化学研究所バイオリソースセンター,つくば市,305-0074

細胞増殖を調節し、p53依存的あるいは非依存的にアポトーシスを誘導する働きを担うE2F1 (Adenoviral E2 promoter binding transcription factor 1)は、マウスの精巣において精子形成に関与することが知られている。本研究では、ニワトリ精巣の発生成熟過程におけるE2F1の役割を明らかにするために、14日胚、17日胚、孵化1日目、1週目および性成熟したニワトリ精巣でE2F1遺伝子の発現をマウスのそれと比較しながら解析した。定量的PCR解析によりニワトリとマウスの精巣の発生成熟過程におけるE2F1遺伝子の発現プロフィールに著しい相違を見出した。ニワトリ精巣では性成熟後にE2F1の発現が最も高くなった。一方、マウスの精巣では、発生・成長に伴ってE2F1の発現量は低下し、性成熟後の精巣ではニワトリとマウスのE2F1の発現量はほぼ同レベルであった。本研究の結果から、ニワトリ精巣の成熟過程がマウスのそれと異なることが示唆された。

キーワード:ニワトリ,発生成熟過程,E2F1,遺伝子発現,精巣

 


N-メチルアセトアミドを用いた八木戸精液の凍結保存

佐々木健二1・巽俊彰1・筒井真理子2・新實竜也2・ 今井隆雪2・内藤充3・田島淳史4・西康裕1

1三重県畜産研究所 三重県松阪市嬉野町1444-1、 〒 515-2324
2(独)家畜改良センター岡崎牧場 愛知県岡崎市大柳町字栗沢1、〒444-3161
3(独)農業生物資源研究所遺伝子組換え家畜研究センター、
茨城県つくば市池の台2 〒305-8602
4筑波大学大学院生命環境科学研究科 茨城県つくば市天王台1-1-1、〒305-8572

遺伝的に希少なニワトリ遺伝資源の保存を目的として、天然記念物に指定されている八木戸(軍鶏)から採取された精液をN-メチルアセトアミド(MA)を凍結保護物質として用いて凍結保存した。複数の雄の八木戸から採取された精液を混合し、MAを含まない希釈液を精液と同量添加した(一次希釈)。5℃で30分間静置した後、MAの最終濃度が9%になるように調整された希釈液を同量添加した(二次希釈)。二次希釈後、希釈精液を容積0.5mlのプラスチックストローに充填し、液体窒素蒸気下で凍結後、液体窒素中で約1ヶ月保存した。人工授精の直前にプラスチックストローを4oCの氷水中に投入することにより精液を融解し、融解後直ちに凍結保護物質を除去することなく凍結融解精液300μLを雌の膣深部に注入した。実験1では、毎週1回、4週間連続して人工授精を実施した。1週間目から4週間目までの受精率は、それぞれ83.8?±?3.8%, 77.1?±?8.8%, 88.6?±?5.1%,および77.3?±?5.7%であった。孵化率は実験期間をとおして、すべて90%以上であった。実験2では、2日連続で人工授精を行った場合における受精率の持続期間を検討した。人工授精後1日目から13日目までの受精率は、それぞれ90.0%, 90.0%, 91.7%, 88.9%, 100.0%, 100.0%, 100.0%, 55.6%, 60.0%, 25.0%, 30.0%, 30.0% および 9.1%であり、実験期間中の平均孵化率は、89.5%であった。以上の結果から、凍結保護物質としてMAを用いたニワトリ精液の凍結保存法は、遺伝的に希少なニワトリ遺伝資源を保存するために実用的な手法であると考えられた。

キーワード:

 


ブロイラーヒナへのフコキサンチン経口投与は血漿中フコキサンチノール濃度と抗酸化能を上昇させるとともに肉色を改善させる

佐々木啓介1・石原賢司2・山崎信1・中島一喜1・阿部啓之1・小山田千秋2・本山三知代1・三津本充1

1畜産草地研究所 つくば市池の台 305-0901
2中央水産研究所 横浜市金沢区福浦 236-8648

 海藻に含まれる主要なカロチノイドであるフコキサンチン(FX)の経口投与が、ブロイラーヒナの血漿中フコキサンチノール(FX-OH)濃度と抗酸化能、肉色、および冷蔵保存中の筋肉の脂質過酸化におよぼす影響を調べた。1週齢のブロイラーヒナを対照群とFX投与群に分け、FX投与群には一日あたり 10gのFXを2週間、そ嚢に強制投与した。投与終了後、血漿、肝臓、および浅胸筋をサンプルとして得た。その結果、対照群およびFX投与群のいずれにおいても、血漿および肝臓中にFXは検出されず、FX投与群においてのみFX-OHが検出された。血漿のペルオキシラジカルに対する抗酸化能は、FX投与群においてのみ認められた。FX強制投与は、浅胸筋を6日間冷蔵保存したときのb*値には影響したが、L*値、a*値、および脂質過酸化物の指標であるチオバルビツール酸反応物量には影響しなかった。これらの結果より、経口投与されたFXは吸収時にFX-OHに変換され、このFX-OHが血漿において抗酸化的に働いたものと考えられた。また、FX投与はブロイラーの肉色を改善させる可能性が示された。FXはブロイラーの抗酸化能と肉色の双方を改善する飼料添加物として有望であるものと考えられた。

キーワード:

 


ニワトリ卵管子宮膣移行部における精子の刺激に伴うトランスフォーミング成長因子βの発現変化の解析:特に精子の生存に関連して

Das SC1,2・磯部直樹1・吉村幸則1

1広島大学大学院生物圏科学研究科,東広島市739-8528
2バングラデシュ農業大学,Mymenshingh,バングラデシュ

 本実験はニワトリ卵管子宮膣移行部(UVJ)における精子貯蔵との関連において,同組織におけるトランスフォーミング成長因子β(TGFβ)の発現が精子の刺激に伴って変化する可能性を検証することを目的とした.人工授精前後の産卵鶏を用いて,精子貯蔵細管(SST)が分布するUVJ組織にTGFβ3の免疫染色を施した.次に,UVJまたは膣部の細胞を精子と共培養し,TGFβ2,-3,-4の遺伝子発現の変化を定量PCRで解析した.TGFβ3の免疫反応産物は,人工授精の有無にかかわらずUVJの粘膜上皮に検出されたが,SST細胞においては人工授精したものだけに1日から20日目まで検出された.培養下でUVJ細胞を精子と共培養すると,TGFβ2,-3,-4の遺伝子発現が増加したが,膣部細胞ではいずれのTGFβの遺伝子発現も変化を示さなかった.これらの結果から,精子がSST細胞を刺激するとSST細胞でTGFβの産生が増加し,これが精子の生存に関与する一つの因子となる可能性が考えられた.

キーワード:

慢性暑熱ストレスに伴う成長と酸化傷害の肉用鶏と卵用鶏のタイプ間差

Kalam M.A. Azad・喜久里 基・Azharul M Hoque・豊水 正昭

東北大学大学院農学研究科、仙台市青葉区堤通雨宮町1-1、981-8555

 暑熱ストレス(HS)は成長や免疫能の低下ならびに熱死を誘導する。著者らはこれまで、‘急性’暑熱ストレスにより、肉用鶏(Cobb)では骨格筋ミトコンドリアの活性酸素種や酸化傷害が増大するが、産卵鶏(WLH、白色レグホーン、オス)ではこれらが認められないことを報告している(Mujahid et al., 2005b)。本研究では、‘慢性’暑熱ストレスに伴う成長と骨格筋の酸化傷害の肉用鶏と卵用鶏におけるタイプ間差を調べた。14日齢の雄肉用鶏 (RossおよびCobb)ならびに雄産卵鶏(WLH)を4つの試験区すなわち対照(24 °C)、cyclic(32-24-32 °C: 32 °C-8 h/day、32-24-32 HS)および2つのconstant(32と34 °C、32 HSと34 HS)の区に分け、14日間飼育した。飼料摂取量および体重を測定し、骨格筋の脂質過酸化はチオバルビツール酸反応性物質(TBARS)を指標とし、マロンジアルデヒド(MDA)当量で表した。体重および飼料摂取量は、32 HSおよび34 HSではいずれのタイプ(Ross、CobbおよびWLH)においても有意に低下し、32-24-32 HSではRossでのみ低下した。WLHの32 HSと34 HSによる体重減少の度合いは、RossおよびCobbに比べ小さかった。MDA含量は、いずれのタイプにおいても32 HSおよび34 HSでは有意(P < 0.05)に上昇したが、32-24-32 HSでは有意な変化は認められなかった。これらの結果より、‘慢性’暑熱ストレスに伴う成長の低下は、肉用鶏(RossおよびCobb)で産卵鶏(WLH)に比べより大きく、この成長低下には骨格筋の酸化傷害の増大が関連していることが示唆された。

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