2009年(46巻)第3号【HTML】

第3号(英文誌)

総 説

p.169-179
家禽生産における飼料メチオニンの役割 (要旨)
Chaiyapoom Bunchasak

研究報告

育種・遺伝

p.180-187
MC3RおよびMC4R遺伝子の一塩基多型(SNP)とニワトリのと体および肉質形質との関連性に関する研究(要旨)
Yan Wang, Yi Su, Xiaosong Jiang, Yiping Liu, Xiaocheng Li, Zengrong Zhang, Huarui Du and Qing Zhu

飼料・栄養

p.188-192
小麦、小麦スクリーニング及び大麦のブロイラーにおける回腸及び全消化管の代謝エネルギー価及びアミノ酸利用率(要旨)
Ali A. Saki , Tahereh Ranjbari , Mohammad M. Tabatabaei , Ahmad Ahmadi, Feriydoon Aflaki, Mohammad R. Masoumeh Abbasinezhad and Homauon Mahmoudi

p.193-197
飼料タンパク質レベルが鶏の腸管各部位における栄養素の消化率に及ぼす影響(要旨)
上曽山博・本田和久・一色 泰・長谷川信

p.198-202
産卵鶏の産卵成績と卵黄中鉄濃度に対するオーガニック鉄添加の影響(要旨)
InKee Paik, HanKyu Lee and SeWon Park

p.203-211
換羽誘導処理期間が産卵鶏の換羽の発現および換羽後の成績に及ぼす影響(要旨)
Hnin Yi Soe・八代田真人・大谷 滋

p.212-216
鶏の熱産生および筋肉蛋白質分解に対するサイロキシンおよびトリヨードサイロニンの作用(要旨)
林 國興・黒木 浩・神園巴美・大塚 彰

p.217-223
とうもろこし・小麦主体飼料を給餌したブロイラーの成績に及ぼす微生物フィター ゼ及びキシラナーゼ添加の影響(要旨)
Mingbin Lu, Defa Li, Liming Gong,Yingjun Ru and Velmurugu Ravindran

(研究ノート)
p.224-228
産卵鶏リポ蛋白リパーゼのmRNA発現およびプロモーターのCpGメチル化に対する飼料へのベタイン添加の影響(要旨)
Jinyi Xing, Li Kang, Yue Hu, Qinying Xu, Ningbo Zhang and Yunliang Jiang

(研究ノート)
p.229-233
レイヤーとブロイラーの胚発生段階における胸筋中のカルノシンおよびその構成要素の変化(要旨)
佐藤桃香・友永省三・D.マイケル・デンボウ・古瀬充宏

繁殖・生理

p.234-239
PACAP含有神経によるニワトリ膵臓の神経支配に関する免疫組織化学的研究(要旨)
平松浩二・山崎亜沙

p.240-248
ウズラ卵においてVMO-IIはカラザ層と卵膜の結合の仲立ちをする(要旨)
ムハンマド A ラーマン・森山昭彦・岩澤 淳・吉崎範夫

(研究ノート)
p.249-256
2品種の伴性遺伝型矮性ニワトリにおける成長ホルモン受容体遺伝子変異の同定(要旨)
田原謙一・塚田 光・花井隆信・奥村健太・山田規久美・村井篤嗣・山本力哉・ 前野 誠・齋藤 昇・島田清司

(研究ノート)
p.257-259
ニワトリ受精卵内におけるグレリンの同定(要旨)
吉村幸則・露木千夏・カルパナ スベディ・海谷啓之・杉野利久・磯部直樹

免疫・衛生

p.224-228
大腸菌症のニワトリから分離されたニワトリ病原性大腸菌のもつ病原性関連遺伝子プロファイル(要旨)
Ga-Yeon Won, Bo-Mi Moon, In-Gyeong Oh, Kiku Mastuda, Atul A. Chaudhari, Jin Hur, Seong-Kug Eo, Il-Jeoung Yu Young-Ju Lee, Yun-Sik Lee, Byeong-Su Kim and John Hwa Lee



要 旨

 


第3号(英文誌)


飼料タンパク質レベルが鶏の腸管各部位における栄養素の消化率に及ぼす影響

上曽山博1・本田和久1・一色泰2・長谷川信1

1神戸大学大学院農学研究科 神戸市 657-8501, 2香川大学農学部 香川県木田郡三木町 761-0795

腸管にフィステルを装着した鶏を用いて、飼料中のタンパク質含量の違いが腸管各部位における粗タンパク質、粗脂肪、可溶無窒素物及び灰分の消化率に及ぼす影響を調べた。鶏の空腸中央部(MJ)、空腸遠位部(DJ)、回腸中央部(MI)、回腸遠位部(DI)或いは直腸遠位部(DR)にフィステルを装着した。腸管内消化物をそれぞれの部位で採取し、消化物中の粗タンパク質、粗脂肪、可溶無窒素物及び灰分を測定した。粗タンパク質の真の消化率は10%区のMJ と DJ及び15%区のMJで30%区に比べ有意(p < 0.05)に低下した。粗脂肪の消化率は0及び10%区のMJ と DJで他の区に比べ有意(p < 0.05)に低下した。可溶無窒素物の消化率は0%区のMJ と DJ及び10%区のMJで他の区に比べ有意(p < 0.05)に低下した。0%区の灰分の消化率は全ての部位で最も低い値を示した。これらの結果から、飼料中のタンパク質含有量の違いは粗タンパク質、粗脂肪、可溶無窒素物及び灰分の鶏の腸管における消化率に影響を及ぼすことが明らかとなった。

キーワード:タンパク質、脂質、炭水化物、腸管、消化率


換羽誘導処理期間が産卵鶏の換羽の発現および換羽後の成績に及ぼす影響

Hnin Yi Soe1、八代田真人2、大谷滋2

1岐阜大学連合農学研究科、岐阜市柳戸1-1
2岐阜大学応用生物科学部、岐阜市柳戸1-1

換羽誘導処理期間が産卵鶏における換羽の発現と換羽後の成績に及ぼす影響を検討した。白色レグホーン種産卵鶏(64週齢)を供試した。導入4週間後に、供試鶏を対照区と換羽誘導処理4区の5区に分け、対照区にはそれまでと同じトウモロコシ、大豆粕主体の成鶏用飼料を給与した。処理区は2週間の絶食(MS 区)あるいはもみ殻、トウモロコシ、フスマ、コーグルテンフィードを主体とする換羽用飼料(1.6 Mcal/kg)を2週間(MF-2区)、3週間(MF-3区)および4週間(MF-4区)自由摂取させることで換羽を誘導した。処理終了後は元の成鶏用飼料を給与した。換羽処理期間中にheterophil:lymphocyte(H:L)比、卵巣と卵管重量およびエネルギー摂取量を測定した。試験期間を通して産卵率、卵重、卵質、体重および飼料摂取量を測定した。処理期間中の換羽区では飼料摂取量および体重が対照区よりも有意に(P<0.01) 減少した。卵巣・卵管重量も有意に(P<0.01)減少した。処理10日目におけるMF区のH:L比はMS区よりも低い値であった。またMS区は処理開始後6日目に全ての鶏が産卵を停止し、MF区では2週間で産卵率が3%まで低下した。換羽処理後の産卵率および卵質は換羽区で改善され、MF-3区の産卵率は最も高くなった。3週間の換羽用飼料の給与により換羽を誘導することができ、換羽終了後の産卵成績が改善できると考えられる。

キーワード:産卵鶏、換羽用飼料、誘導換羽、換羽誘導処理期間、換羽後の成績


鶏の熱産生および筋肉蛋白質分解に対するサイロキシンおよびトリヨードサイロニンの作用

林 國興・黒木浩・神園巴美・大塚彰

鹿児島大学農学部 生物資源化学科  鹿児島市郡元1-21-24 890-0065

本研究ではブロイラーヒナ(15~27日齢)を用いて熱産生および筋肉蛋白質分解に対するサイロキシン(T4)とトリヨードサイロニン(T3)の作用を比較した。T4とT3はそれぞれ1.2、3.6、10.8 mg/kgおよび0.3、0.9、2.7 mg/kgとなるように飼料に混合して与えた。その結果、血漿中のT4およびT3は投与量に応じて増加した。しかし、T4投与により血漿中のT3が増加することはなかった。T4およびT3はそれぞれ10.8 mg/kgおよび2.7 mg/kgのレベルで投与したとき成長を抑制し飼料要求率を高めたが、飼料摂取量には影響を及ぼさなかった。一方、T4およびT3は体脂肪を減少させ、そのため筋肉の相対重量を増加させる傾向を示した。熱産生と筋肉蛋白質分解は、いずれも、T4とT3の投与量に応じて増加し、T3の効力はT4の約4倍であった。以上の結果は、T4は単なるT3の前駆体ではなく生理活性のあるホルモンとして鶏の熱産生および筋肉蛋白質分解に重要な役割を果たしていることを示している。

キーワード:鶏, 筋肉蛋白質分解、熱産生、サイロキシン、トリヨードサイロニン

 


レイヤーとブロイラーの胚発生段階における胸筋中のカルノシンおよびその構成要素の変化

佐藤桃香1, †・友永省三1, †・D.マイケル・デンボウ2・古瀬充宏1

1 九州大学大学院生物資源環境科学府 福岡市812-8581, 2 バージニア州立工科大学VA 24061-0306

カルノシン(β-アラニル-L-ヒスチジン)、アンセリン(β-アラニル-1-メチル-L-ヒスチジン)およびその構成要素であるβ-アラニン, L-ヒスチジンならびに1-メチルヒスチジンの胸筋における発達中の変化を調べた。孵卵14日目(E14)、E18および孵化時(P0)においてブロイ ラーとレイヤーで比較を行った。カルノシンとアンセリンの水準は孵化に向かって高まり、ブロイラーで高かった。β-アラニンの水準はE18で両タイプとも最も高かった。L-ヒスチジンと1-メチルヒスチジンは胚の段階では同等の水準であったが、1-メチルヒスチジンはP0で著しく高くなった。構成要素の水準にブロイラーとレイヤーの違いは認められなかった。カルノシン含量はブロイラーで高いことが判明した。

キーワード: アンセリン;カルノシン、ニワトリ、胚、骨格筋

 


PACAP含有神経によるニワトリ膵臓の神経支配に関する免疫組織化学的研究

平松 浩二・山崎 亜沙

信州大学農学部動物生体機構学教室 長野県上伊那郡南箕輪村8304 399-4598

セクレチン/グルカゴン/VIPファミリーに属するPACAPは,ほ乳類においては強力な膵分泌刺激作用を有する。本研究の目的は,ニワトリ膵臓内におけるPACAP27またはPACAP38を含有する神経要素の分布を明らかにすることにある。これらふたつのペプチドは,ニワトリ膵臓内において神経要素に見出され,似通った分布パターンを示した。PACAP免疫反応陽性細胞を含む膵臓内神経節は,小葉間結合組織に見られた。PACAPに免疫陽性反応を示す神経線維は,小動脈の周囲には密な網目構造を形成し,膵管の固有層や外分泌組織に分布していた。PACAPと膵島ホルモンに対する二重免疫染色法は,PACAP免疫反応陽性神経線維がB島内のB及びD細胞と接するが,A島にはまれであることを示した。以上より,PACAPがニワトリ膵臓において外分泌及びB島内のB並びにD細胞からの分泌の制御に関わることが示唆される。

キーワード:ニワトリ,免疫組織化学,神経支配,PACAP,膵臓

 


ウズラ卵においてVMO-IIはカラザ層と卵膜の結合の仲立ちをする

ムハンマド A ラーマン1・森山昭彦 2・ 岩澤淳 1・ 吉崎範夫 1

1 動物生産利用学講座、連合大学院農学研究科、岐阜大学、岐阜市501-1193
2 自然科学研究教育センター、名古屋市立大学、名古屋市467-8501

 電子顕微鏡観察によって、鳥類卵のカラザ層に電子密度の勾配があることが知られている。卵膜と接する最内層は電子密度が最も高く、伝統的に卵膜外層 (VMO)と名付けられている。高濃度の塩化ナトリウムで日本ウズラCoturnix japonicaの卵外被を処理すると、VMO-IとVMO-IIの二つのタンパクが溶出し、その結果、卵膜とカラザ層は分離した。VMO-IとVMO- IIをゲル濾過で精製し、ウサギを用いてそれぞれに対する抗血清を作成した。VMO-IIの分子サイズは9-15 kDa、VMO-Iのそれは18 kDaであった。これらのアミノ酸配列はニワトリの相同物と良く似ていた。蛍光免疫染色および免疫電顕の観察像は、VMO-IIが卵管漏斗部の管腔上皮で生産されること、またVMO-Iが管腔上皮および腺上皮で生産されることを示した。両タンパクの指標となる免疫金粒子は、カラザに結合し、またカラザ層では先に述べた電子密度と同じような勾配で分布した。塩化ナトリウム処理の卵外被は、抗VMO-II抗体では全く染められず、抗VMO-I抗体では弱く染色された。精製VMO-IIは塩化ナトリウム処理外被の卵膜部分に結合し、リガンドブロット実験により、結合する相手はZP1とZP3であることが明らかとなった。この結合は数種の糖で抑制された。VMO-IIはカラザ層を卵膜に結合させる役割を果たし、それによってカラザを卵膜に固定させているのであろう。

 


2品種の伴性遺伝型矮性ニワトリにおける成長ホルモン受容体遺伝子変異の同定

田原 謙一1、塚田 光1、花井 隆信1、奥村 健太1、山田 規久美1、村井 篤嗣1, 2、山本 力哉3、前野 誠4、齋藤 昇2, 1、島田 清司2

1名古屋大学大学院生命農学研究科 愛知県名古屋市千種区不老町 464-8601
2名古屋大学大学院生命農学研究科付属 鳥類バイオサイエンス研究センター 愛知県名古屋市千種区不老町464-8601
3独立行政法人家畜改良センター岡崎牧場 愛知県岡崎市大柳町字栗沢1番地 444-3161
4独立行政法人家畜改良センター兵庫牧場 兵庫県たつの市揖西町土師954-1 0791-66-0801

 伴性型成長遅延形質(SLD)をもつ白色レグホーン(WL; S23MA系統、岡崎牧場)と白色プリマスロック(WPR; 15系統、兵庫牧場)は正常な成長を示す白色レグホーン(MA系統)と白色プリマスロック(16系統)から樹立された。しかしながら、この2系統のSLD ニワトリの原因遺伝子は同定されていない。本研究では、この2系統の表現形質の調査と原因遺伝子の同定を行った。両品種のSLDニワトリは正常ニワトリに対して体重の低下、足長の短縮などの成長遅延形質、高い血中GH濃度を示した。この特徴的な結果から、SLDニワトリは成長ホルモン受容体(GHR)異常を持つことが示唆された。我々は2系統のGHRにおいてノーザンブロット解析とPCR解析を行い、2つのタイプのGHR遺伝子異常を同定した。S23MA 系統ではGHR遺伝子のエクソン5とイントロン5の接合部位に位置するスプライシング配列に1塩基変異があり、15系統ではカルボキシル末端27残基に相当するアミノ酸翻訳領域と3’非翻訳領域を含むGHR遺伝子エクソン10の大部分が欠落している。また、両SLDニワトリにおける体重の低下は採食量の減少により引き起こされることが示された。これら2つの遺伝的に異なるGHRの変異様式はニワトリにおけるGH作用とGHR機能解析において有効な実験動物となる。

キーワード:遺伝子型解析、成長ホルモン、成長ホルモン受容体、成長ホルモン抵抗性、伴性遺伝型矮性ニワトリ

 


ニワトリ受精卵内におけるグレリンの同定

吉村幸則1・露木千夏1・カルパナ スベディ1・海谷啓之2・杉野利久1・磯部直樹1

1広島大学大学院生物圏科学研究科 東広島市 739-8528,
2国立循環器病センター研究所 吹田市藤白台 565-8565

本実験はニワトリ受精卵内にグレリンが存在する可能性を検討した。孵卵前から5日目までの受精卵を用いて,卵内グレリンを時間分解蛍光免疫測定法で測定した。受精卵の内容物にグレリンが検出され,新鮮受精卵での濃度は卵白より卵黄で高かった。孵卵5日間の全卵(卵黄,卵白,胚の混合)における濃度の変化を解析したが,有意な変化は認められなかった。以上の結果から,ニワトリ受精卵にグレリンが存在することが明らかとなり,母性グレリンとして初期胚のグレリン受容体に結合し、胚細胞の機能調節に関与する可能性が示唆された。

 

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