2009年(46巻)第4号【HTML】

第4号(英文誌)

総 説

267-285
高カルシウム要求性鳥類のカルシウム輸送組織中のカルビンディンの特異的調節(要旨)
Arie Bar

研究報告

育種・遺伝

286-290
鳥類初期胚発生中におけるゲノムワイドなDNAメチル化状態の新規定量法を利用した解析(要旨)
臼井文武・中村隼明・山本耕裕・尾藤理子・小野珠乙・鏡味裕

飼料・栄養

291-295
飼料脂質レベルが鶏の腸管各部位における栄養素の消化率に及ぼす影響(要旨)
本田和久・上曽山博・一色泰・長谷川信

296-302
ブロイラーの成長成績、枝肉特性、肉質及び酸化安定性に及ぼすカルノシンの影響(要旨)
Xinxu Hu, Kittiporn Hongtrakul, Cheng Ji, Qiugang Ma, Shu Guan, Chunling Song, Yong Zhang and Lihong Zhao

303-312
ローマンブラウン雛および産卵鶏における食品残さ利用飼料の栄養評価(要旨)
Mohamed A. Al-Harthi, Ahmed A. El-Deek, Haitham M. Yakout and Maged AL-Refaee

313-321
イソロイシンを添加した血粉を含む飼料で育成した白色レグホーンの産卵成績(要旨)
James Tyus, II, Samuel N. Nahashon, Nathaniel Adefope and Darren Wright

(研究ノート)
322-327
フェーズ1のハイラインW-36における生産性、卵組成、卵固形分、および卵質に対す る飼料中脂肪含量およびタンパク質含量の影響(要旨)
Kun Yuan, Guangbing Wu, Matilda M. Bryant and David. A. Roland, Sr.

(研究ノート)
328-333
鶏ヒナの骨格筋タンパク質分解ならびにタンパク質分解関連遺伝子発現に及すタウリンの経口給与の影響(要旨)
中島一喜・石田藍子・勝俣昌也

繁殖・生理

334-339
ウズラ胚の発育に及ぼす卵内カドミウム毒性:アスコルビン酸による保護効果の性による違い(要旨)
Md.シャヒドール・ラーマン・望月眞理子・森 誠

340-344
ニホンウズラの孵化率と胚発生中のグルタチオンペロキシダーゼmRNA発現に対するセレンの効果(要旨)
Sopon Wilaison and Makoto Mori

345-350
比内地鶏の去勢が肉質に及ぼす影響(要旨)
力丸宗弘・小川秀治・小松恵・石塚条次

(研究ノート)
351-355
比内地鶏の去勢が発育及びと体成績に及ぼす影響(要旨)
力丸宗弘・安田正明・小松恵・石塚条次

免疫・衛生

356-362
グリーン蛍光タンパク質遺伝子を安定に導入されたDT40細胞株に対するニワトリにおける免疫寛容の誘導(要旨)
Wenjing Jin, Chen Zhao, Peng Sun, Xiaoping Wang, Wenxin Zhang, Jihong Yuan, Fang Yuan, Yan Li and Zandong Li

363-369
遺伝子導入したニワトリ胎児繊維芽細胞を移植して作出した体細胞キメラニワトリにおけるグリーン蛍光タンパク質遺伝子の発現(要旨)
Peng Sun, Chen Zhao, Yan Li, Wenjing Jin, Wenxin Zhang, Yujing Shao, Guojin Wu and Zandong Li

370-376
養鶏場から分離したサルモネラ・エンテリティディスのヒナおよびマウスにおける多様な病原性(要旨)
江川智哉・寺井志織・天野富美夫・花谷有樹子・大田博昭



要 旨

 


第4号(英文誌)


鳥類初期胚発生中におけるゲノムワイドなDNAメチル化状態の新規定量法を利用した解析

臼井文武1、中村隼明1,2、山本耕裕3、尾藤理子1、小野珠乙1、鏡味裕1

1信州大学大学院総合工学系研究科 南箕輪村 399-4598
2(独)畜産草地研究所 つくば市 305-0901
3国立遺伝学研究所総合遺伝研究系 三島市 411-8540

 個体内における多様に分化した体細胞や未分化な幹細胞など様々な細胞は基本的に同一のゲノムを持つ。しかしその形態や機能は相互に非常に異なっている。これは同じゲノム配列を持っていても遺伝子の発現パターンが異なることに起因すると思われる。このようなゲノム情報の変化を伴わずに細胞が異なる遺伝子を発現するのに関与する現象はエピジェネティクな現象と呼ばれる。中でもゲノムDNAのメチル化は遺伝子の発現抑制に関わる重要な分子機構の一つである。哺乳類においては、初期胚発生段階において非常にダイナミックな変化をすることが知られている。しかし鳥類では胚発生初期のメチル化状態の変化についてあまり研究が進められていない。そこで我々は新規解析法を開発しニワトリの初期胚発生中におけるゲノムワイドなDNAのメチル化は変化し得るか否か解析を試みた。その結果ステージ1でのメチル化の割合は約57%であった。胚発生の進行に伴い徐々にメチル化状態は低下しステージ10で最も低メチル化状態(約 33%)になることが確認された。そしてステージ10以降ではメチル化状態が徐々に減少する事が明らかとなった。本研究の結果は鳥類のエピジェネティク機構の解明に貢献し得るものと思われた。

キーワード:ニワトリ胚、初期発生、DNAのメチル化、イソシゾマー、メチル化感受性制限酵素

 


飼料脂質レベルが鶏の腸管各部位における栄養素の消化率に及ぼす影響

本田和久1・上曽山博1・一色泰2・長谷川信1

1神戸大学大学院農学研究科 神戸市 657-8501, 2香川大学農学部 香川県木田郡三木町 761-0795

腸管にフィステルを装着した鶏を用いて、飼料中の脂質含量の違い(3%~10%)が腸管各部位における粗タンパク質、粗脂肪、可溶無窒素物及び灰分の消化率に及ぼす影響を調べた。鶏の空腸中央部(MJ)、空腸遠位部(DJ)、回腸中央部、回腸遠位部或いは直腸遠位部にフィステルを装着した。腸管内消化物をそれぞれの部位で採取し、消化物中の粗タンパク質、粗脂肪、可溶無窒素物及び灰分を測定した。粗タンパク質の真の消化率は10%CF区のMJで他の区に比べ有意(p < 0.05)に低下した。粗脂肪の見かけの消化率は10%CF区のMJで他の区に比べ有意(p < 0.05)に低下した。可溶無窒素物の見かけの消化率は10%CF区のMJとDJで他の区に比べ有意(p < 0.05)に低下した。灰分の見かけの消化率には試験区間で有意な差は見られなかった。これらの結果から、鶏においては、飼料中の脂質レベルの違いは粗タンパク質、粗脂肪及び可溶無窒素物の腸管における消化率に影響を及ぼすことが明らかとなった。

キーワード:脂質、タンパク質、炭水化物、フィステル、消化率

 


鶏ヒナの骨格筋タンパク質分解ならびにタンパク質分解関連遺伝子発現 に及ぼすタウリンの経口給与の影響

中島一喜・石田藍子・勝俣昌也

畜産草地研究所 分子栄養研究チーム つくば市池の台2 305-0901

本研究では、鶏ヒナを用いて骨格筋タンパク質分解ならびにタンパク質関連遺伝子発現に及ぼすタウリンの影響を調べた。24時間絶食したヒナに57 mg、113 mgならびに225 mg/100g体重のタウリンを蒸留水に溶解し経口で給与した。2時間後に血液と腓腹筋を採取し、血中N?-メチルヒスチジン濃度と腓腹筋のタンパク質分解関連遺伝子発現をリアルタイムPCR法で測定した。その結果、血中N?-メチルヒスチジン濃度はタウリン給与により減少し、タンパク質分解関連遺伝子の m-カルパイン、プロテアソームC1ならびにC2サブユニット、カスパーゼ3 mRNA発現がタウリンの給与により減少した。以上の結果は、タウリンは鶏ヒナの骨格筋においてカルパイン、プロテアソーム、カスパーゼの遺伝子発現の抑制ならびに骨格筋タンパク質分解を減少させることを示している。

キーワード:タウリン、骨格筋タンパク質分解、プロテアソーム、カルパイン、カスパーゼ

 


ウズラ胚の発育に及ぼす卵内カドミウム毒性:アスコルビン酸による保護効果の性による違い

Md.シャヒドール・ラーマン1)、望月 眞理子2)、森 誠1,3)

1)岐阜大学大学院連合農学研究科、岐阜市501-1193
2)日本獣医生命科学大学、獣医保健看護学科、武蔵野市180-8602
3)静岡大学農学部、静岡市422-8529

 卵へのカドミウム暴露が鳥類の胚発生に及ぼす毒性を調べるために、ウズラ有精卵にカドミウムを投与し、胚死亡率及び初生雛の体重を調べた。アスコルビン酸とともに投与したカドミウムの毒性は、酸化ストレスの指標となるメタロチオネインmRNA転写量、カタラーゼ活性およびマロンジアルデヒド産生量を10日目のメス胚とオス胚で測定することにより評価した。カドミウム1μgの投与でも胚死亡率が高くなり、初生雛の体重は減少した。死亡率はメス胚よりもオス胚で少し高くなる傾向があった。対照群と比較してメタロチオネインmRNA転写量とマロンジアルデヒド産生量の増加が観察された。アスコルビン酸50μg をカドミウムと同時に投与するとマロンジアルデヒド産生量の上昇抑制がオスでもメスでも観察されたが、メタロチオネインmRNAの上昇抑制はメス胚のみで顕著であった。これらの結果から、卵のカドミウム汚染は胚発生の停止に至る毒性を呈し、これに対する抗酸化剤の保護効果は性によって違いがあることが示唆 された。

キーワード:アスコルビン酸、カドミウム、ニホンウズラ、メタロチオネイン、酸化ストレス

 


比内地鶏の去勢が肉質に及ぼす影響

力丸宗弘1, 小川秀治2, 小松恵1, 石塚条次1

1 秋田県農林水産技術センター畜産試験場, 大仙市, 019-1701
2 秋田県中央家畜保健衛生所, 秋田市, 010-1975

比内鶏は秋田県の地鶏であり、比内鶏とロードアイランドレッド種との交雑鶏である比内地鶏は日本で人気のある肉用鶏であるが、雄鶏の肉は郷土料理であるきりたんぽ鍋に適さないことから雄鶏は利用されていない。本研究では、8週齢における去勢が26週齢にと殺した比内地鶏の肉質へ及ぼす影響について調査を行った。もも肉とむね肉を一般成分(水分、粗タンパク、粗脂肪)、肉色、脂肪酸組成の分析及び組織学的観察に用いた。去勢した雄鶏は雄鶏と比較して有意に肉中の粗脂肪含量が増加し、赤味が低下した。また、去勢した雄鶏のもも肉は雌鶏と似た脂肪酸組成へ変化した。去勢した雄鶏の肉は雄鶏と比較して有意に柔らかくなった。筋肉組織では、去勢した雄鶏は雄鶏と比較して結合組織が少なく筋内膜が薄かった。以上の結果から、去勢によって肉の品質が向上し、未利用である雄びなを比内地鶏生産において利用できることが示唆された。

キーワード:去勢、去勢した雄鶏、比内地鶏、肉質、筋肉組織

 


比内地鶏の去勢が発育及びと体成績に及ぼす影響

力丸宗弘1, 安田正明2, 小松恵1, 石塚条次1

1 秋田県農林水産技術センター畜産試験場, 大仙市, 019-1701
2 秋田県北部家畜保健衛生所, 北秋田市, 018-3435

比内地鶏は日本で人気のあるブランド鶏であるが、市場に流通する比内地鶏のほとんどは雌であり、雄は利用されていない。未利用である比内地鶏の雄びなを有効に活用するため、去勢が比内地鶏の発育及びと体成績に及ぼす影響について検討を行った。4週齢のひなを雌区、去勢区、雄区に15羽ずつ割り当てた。去勢区は8週齢に去勢を施し、22,26,30週齢に各区5羽ずつ解体を行った。去勢区と雄区は18~26週齢では体重や増体に有意な差は認められなかったが、雌区は全期間を通して最も劣った。解体成績では、去勢区は26,30週齢において雌区よりもも肉、正肉割合が高かった。また、去勢区と雄区の腹腔内脂肪割合に差は認められなかったが、26週齢では雄区より腹腔内脂肪量が多かった。以上の結果から、去勢した雄鶏は26週齢までは雄鶏と同等の発育、雌に匹敵する腹腔内脂肪量が得られることから、去勢は比内地鶏の雄びなを利用するために有効であることが示唆された。

キーワード:体重、去勢した雄鶏、去勢、と体成績、比内地鶏

 


養鶏場から分離したサルモネラ・エンテリティディスのヒナおよびマウスにおける多様な病原性

江川智哉1)・寺井志織2)・天野富美夫2)・花谷有樹子1)・大田博昭1)

1株式会社シーエーエフ ラボラトリーズ, 広島県福山市神辺町字道上, 720-2104
2大阪薬科大学薬学部, 大阪府高槻市奈佐原, 569-1094

養鶏農場より分離したサルモネラ・エンテリティディスSE #15, SE #26, およびSE #56の経口感染を初生SPFヒナおよび6週齢BALB/c マウスを用いて行った。SE #15は初生ヒナおよびマウスに強い致死性を示したが, SE #26およびSE#56はマウスの生存に影響を及ぼさなかった。SE #26は初生ヒナに弱い致死性を示し, SE#56は中程度の致死性を示した。RT-PCRでこれらのSEの病原遺伝子の発現について検討した結果,  SE #15およびSE#56は,べん毛遺伝子(fliC), 細胞侵入性遺伝子(invA), エンテロトキシン(stn)およびサルモネラDps遺伝子(sep22)を発現していたが, SE #26はinvAを発現していなかった。また, sep22の発現量はSE #15と比較して, SE #26およびSE #56では低かった。ウエスタン・ブロッティングにおいてSEp22の発現量はSE #15で最も高く, SE #26およびSE #56において有意に低かった。これらの結果から, sep22遺伝子およびSEp22蛋白の発現レベルと, 初生ヒナおよびマウスにおけるSEの病原性はよく相関しており, SEp22はヒナおよびマウスにおける新しい病原因子である可能性が示唆された。

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