2009年(46巻)第2号【HTML】

第2号(英文誌)

総 説

p.69-80
ニワトリの免疫におけるCpGオリゴヌクレオチドの潜在効果 (要旨)
Arshud Dar, Brenda Allan, Susantha Gomis, Andrew Potter and George Mutwiri


p.81-86
鳥類における季節繁殖機構のゲノムワイドな解析  (要旨)
中尾暢宏

研究報告

育種・遺伝

p.87-94
ニワトリにおける屠体形質と脂肪分化関連タンパク質遺伝子の多型との関係 (要旨)
Xiaoling Zhao, Yiping Liu, Xiaosong Jiang, Huarui Du and Qing Zhu

p.95-99
筋ジストロフィー鶏及び正常鶏におけるWWP1遺伝子の発現様式(要旨)
松本大和・丸瀬英明・笹崎晋史・藤原哲・武田伸一・市原伸恒・菊池建機・向井文雄・万年英之

飼料・栄養

p.100-104
タイム粉末 (Thymus valgaris L) の給与がブロイラーの成長、血中成分、消化管及び枝肉特性に及ぼす影響(要旨)
Safaa S. El-Ghousein and Nafez A. Al-Beitawi


p.105-111
飼料中のアスコルビン酸が夏期環境下における雄七面鳥の血球プロファイル、血清生化学成分および無動反応に及ぼす影響(要旨)
Yusuf Konca, Figen Kirkpinar and Metin ?abuk

(研究ノート)
p.112-115
クワの葉(Morus alba L.)添加飼料給与が卵黄色に及ぼす影響(要旨)
Kanda Lokaewmanee ・Sawitree Mompanuon・Panuwat Khumpeerawat・山内高円

(研究ノート)
p.116-122
納豆の給与が地鶏の飼養成績、盲腸内微生物活性およびサイトカイン遺伝子発現に及ぼす影響(要旨)
藤原謙一郎・山崎信・阿部啓之・中島一喜・矢ヶ部陽子・大塚誠・大林康信・加藤由紀乃・生井和夫・豊田淳・宮口右二・中村豊

繁殖・生理

p.123-126
生殖系列キメラより得た子孫の交配による筋ジストロフィー発症ニワトリの完全再生(要旨)
藤原哲・小野珠乙・平松浩二・鏡味裕

p.127-135
ブスルファンがニワトリ初期胚における始原生殖細胞の除去および再移住へ与える影響(要旨)
中村隼明・ 臼井文武, 渥美優介・ 大友朝子・ 手嶋歩美・ 小野珠乙・武田久美子・韮澤圭二郎・ 鏡味裕・ 田上貴寛

p.136-143
ニワトリ胚の胚体外領域への軟X線照射による始原生殖細胞増殖抑制と導入したウズラ始原生殖細胞の発現(要旨)
渥美優介・矢澤重信・臼井文武・中村隼明・山本耕裕・田上貴寛・平松浩二・鏡味裕・小野珠乙

p.144-148
ニワトリヒナ中枢におけるニワトリ、ブタ、ヒトおよびウシ?インスリンの摂食抑制効果の比較(要旨)
白石純一・柳田光一・西川文也・田原有紀・藤田正範・John P. McMurtry・豊後貴嗣

免疫・衛生

p.149-154
ニワトリリンパ球、マクロファージおよび腫瘍細胞株に対する朝鮮果実(パーシモン、ラズベリー、トマト)メタノール抽出物のin vitro 効果(要旨)
Sung-Hyen Lee, Hyun S. Lillehoj, Hye-Kyung Chun, Hong-Ju Park, Soo-Muk Cho and Erik P. Lillehoj

p.155-162
実験的コクシジウム感染に対する食餌ベニバナ(Carthamus tinctorius) の防御効果(要旨)
Sung-Hyen Lee,Hyun S. Lillehoj, Soo-Muk Cho, Dong-Woon Park, Yeong-Ho Hong, Erik P. Lillehoj, Robert A. Heckert, Hong-Ju Park and Hye-Kyung Chun

環境・管理

(研究ノート)
p.163-167
暑熱ストレス負荷時におけるブロイラーの生理変化の推移(要旨)
Ahmad Mujahid・秋葉征夫・豊水正昭





要 旨

 


第2号(英文誌)



鳥類における季節繁殖機構のゲノムワイドな解析

中尾暢宏

名古屋大学大学院生命農学研究科動物機能制御学研究分野
愛知県名古屋市千種区不老町 〒464-8601

 多くの季節繁殖動物は、日長(日照)を読み取り繁殖活動に備えている。ニホンウズラは、日長の変化に急速かつ劇的に反応するために古くから光周性の優れたモデル動物として使用されている。近年、ウズラを用いた分子生物学的解析によって、光周性の制御機構には視床下部内側基底部における2型および3型脱ヨウ素酵素による部位特異的な甲状腺ホルモンの濃度バランスが重要であることが明らかになっている。しかしながら、日長刺激によるこれら脱ヨウ素酵素の活性化のメカニズムは不明であった。近年のニワトリゲノムプロジェクトにより、光周性の遺伝子ネットワークを網羅的に解析できる事になった。そこで本総説では、鳥類の光周性についてゲノムワイドな遺伝子発現解析に焦点を絞って紹介する。

キーワード:光周性、甲状腺刺激ホルモン、下垂体隆起葉、脱ヨウ素酵素、視床下部内側基底部




筋ジストロフィー鶏及び正常鶏におけるWWP1遺伝子の発現様式

松本 大和1・丸瀬 英明1・笹崎 晋史1・藤原 哲2・武田 伸一3・市原 伸恒4,5・菊池 建機3・向井 文雄1・万年 英之1


1神戸大学大学院農学研究科、兵庫県神戸市灘区六甲台町 657-8501
2(財)日本生物科学研究所附属実験動物研究所、山梨県北巨摩郡小淵沢町上笹尾 408-0041
3国立精神・神経センター神経研究所遺伝子疾患治療研究部・4モデル動物開発部、東京都小平市小川東町 341-2711
5麻布大学獣医学部、神奈川県相模原市淵野辺 754-7111

WW domain containing E3 ubiquitin protein ligase 1 (WWP1)は、ユビキチン・プロテアソーム経路において重要な役割を演じるユビキチンリガーゼの一種である。以前の研究による連鎖解析及び筋ジストロフィー発症鶏・正常鶏間での塩基配列の比較から、WWP1はニワトリ筋ジストロフィーの原因遺伝子と同定された。本遺伝子のニワトリにおける発現パターンは報告されていないが、発症機構の解明や本遺伝子の基礎情報を得る上で重要であると考えられた。そこで本研究では、様々な組織及び筋肉におけるWWP1遺 伝子の発現解析を正常鶏と筋ジストロフィー発症鶏で行った。分析した全ての組織において分子量の異なる2本のバンドが観察され、両者はほぼ同程度の発現量を示した。筋ジストロフィー発症鶏ではほぼ全ての骨格筋でWWP1遺伝子の発現が低下している事が観察されたが、症状が認められない筋肉組織においても同様の傾向が示された。これらの結果から、WWP1発現量は本症の発症や程度に大きく影響しないことが示唆された。

キーワード:ニワトリ,発現解析,速筋繊維,筋ジストロフィー,WWP1




クワの葉(Morus alba L.)添加飼料給与が卵黄色に及ぼす影響

Kanda Lokaewmanee 1・Sawitree Mompanuon1・Panuwat Khumpeerawat1・山内高円2


1 Facultry of Natural Resources and Agro-Industry, Kasetsart University, Kasetsart University Sakon Nakhon Province Campus, Thailand
2香川大学農学部応用生物科学科,香川県木田郡三木町, 761-0795

クワの葉を添加した飼料の給与が卵黄色や卵質に及ぼす影響を検討するために, 192羽の採卵鶏 (CP ブラウン)を4区に分けた。各区とも1反復が12羽からなる4反復ずつを設け,各反復は更に3羽からなる4つの大ケージ(40 x 40 x 36 cm) に分けた。基礎飼料 (17.50 CP, 2750 kcal /kg ME)に乾燥したクワの葉を0 (対照区), 1, 2 および3%の割合で添加し,45日間飼育した。対照区と比較して, クワの葉添加区の摂食量,増体重,産卵率,卵重,卵黄重,卵白重,卵殻の厚さについては,何ら影響は見られなかった。しかしながら,ロッシュヨークカラーファンを用いた卵黄色の測定点では,対照区 (10.34)よりも全試験区において有意に高い値を示し (P<0.05),2%添加区が最も高い数値を示した。以上の結果から,クワの葉は卵黄色を高めることができ,3%までの添加であれば卵黄色の源になりうることを示唆するものである。

キーワード: 卵黄色, 卵質, 採卵鶏, クワの葉





納豆の給与が地鶏の飼養成績、盲腸内微生物活性およびサイトカイン遺伝子発現に及ぼす影響

藤原謙一郎1・山崎信2・阿部啓之2・中島一喜2・矢ヶ部陽子2・大塚誠2・大林康信1・加藤由紀乃1・生井和夫1・豊田淳3・宮口右二3・中村豊3


1茨城県畜産センター、茨城県石岡市、315-0132
2畜産草地研究所、茨城県つくば市、305-0901
3茨城大学農学部、茨城県稲敷郡阿見町、300-0393

納豆給与が地鶏の飼養成績、盲腸内微生物叢および脾臓のサイトカイン遺伝子発現に及ぼす影響を検討した。納豆を0(対照区), 1および2%添加した飼料を初生から80日齢まで、または初生から27日齢までは納豆を添加しない飼料を給与し、その後80日齢まで納豆2%添加飼料を給与した。その結果、納豆添加による飼料摂取量の減少は認められず、増体量および飼料効率も区間に差はみられなかった。と体重量、胸肉およびもも肉の割合、腹腔内脂肪重量に納豆添加の影響はみられなかった。盲腸内容物のpH、アンモニア態窒素濃度および微生物数に納豆添加の影響は認められなかったが、納豆を初生から80日齢まで2%添加した飼料を給与した区において、酢酸濃度の有意な上昇が認められた。脾臓のIFN-γ、IL-4およびIL-13遺伝子発現は各区間に差は認められなかった。 以上の結果から、肉用鶏への納豆添加飼料の給与は増体量に悪影響を及ぼさず、盲腸内のVFA濃度の上昇など腸内微生物活性に有益な効果がある可能性が示された。

キーワード:Bacillus subtilis、納豆、肉用鶏、プロバイオティクス、盲腸微生物





生殖系列キメラより得た子孫の交配による筋ジストロフィー発症ニワトリの完全再生

藤原 哲1・2、小野珠乙2、平松浩二2、鏡味 裕2


1(財)日本生物科学研究所 北杜市小淵沢町3331-114,
2信州大学大学院総合工学系研究科 南箕輪村 

我々は、既に筋ジストロフィー発症ニワトリと白色レグホンの間の生殖細胞系列キメラ作出の報告を行なった。これらのキメラにドナーのNH-413系を戻し交配したところ、Type-I:ドナー由来の羽装と筋ジストロフィー症を示す個体群、Type-II:ドナーとレシピエントの羽装が混ざり、筋ジストロフィー症を示さない個体群の2種類の後代が得られたことも報告した。そこで、本研究においては、Type-Iの雄と雌を両親として交配を行なった。これらの子孫がNH-413系と同様な表現型および筋ジストロフィー症を発症するか否かを検定した。この結果、得られた子孫すべてにおいて表現型、筋ジストロフィー症の発症を確認できた。これらの結果から筋ジストロフィー発症ニワトリNH-413系の完全な再生に成功した。

キーワード: ニワトリ、完全な再生、生殖系列キメラ、筋ジストロフィー





ブスルファンがニワトリ初期胚における始原生殖細胞の除去および再移住へ与える影響

中村隼明1,2・臼井文武1, 渥美優介1・大友朝子1・手嶋歩美1・小野珠乙1・武田久美子2・韮澤圭二郎2・ 鏡味裕1・ 田上貴寛2


1 信州大学農学部 上伊那郡南箕輪村 399-4598
2 畜産草地研究所 つくば市 305-0901

生殖系列キメラからドナー始原生殖細胞(PGCs)由来の後代を効率良く得るには、宿主胚の内在性PGCを除去することが効果的である。本研究は宿主胚の内在性PGC除去効率および宿主胚生殖巣へのドナーPGC定着効率を向上するため、ニワトリ胚におけるブスルファンの適切な投与時期を検討した。ブスルファンが溶解した徐放性乳化液を放卵直後あるいは24時間培養したニワトリ胚卵黄中へ投与した。各ブスルファン投与区におけるPGCの除去効率を解析するため、血液中および生殖巣におけるPGC数を測定した。各ブスルファン投与区における血液中および生殖巣のPGC数はいずれも対照区と比較して減少した (P < 0.01)。2つの投与区間において生殖巣のPGC数に有意な差はなかったが、放卵直後投与区における血液中のPGC数は24時間投与区と比較して有意に減少した(P < 0.01)。さらに、各ブスルファン投与区における宿主胚生殖巣へのドナーPGC定着効率を解析するため、蛍光標識したPGCを宿主胚の血液中へ200個移植した。放卵直後投与区における生殖巣のドナーPGC数は、24時間投与区および対照区と比べて有意に増加した(P < 0.01)。また、各ブスルファン投与区におけるドナーPGCの割合は対照区と比べて有意に高い値を示した(P < 0.01)。以上の結果より、ドナーPGCの寄与率が高い生殖系列キメラの作出を目的とした宿主胚を準備するには、ブスルファン徐放性乳化液を放卵直後のニワトリ胚卵黄中へ投与することが最適であるということが示された。

キーワード: ブスルファン徐放性乳化液、ニワトリ胚、生殖系列キメラ、始原生殖細胞





ニワトリ胚の胚体外領域への軟X線照射による始原生殖細胞増殖抑制と導入したウズラ始原生殖細胞の発現

渥美優介1, 2 ・矢澤重信3・・白井文武1, 2 ・中村隼明1, 2, 4 ・山本耕裕1, 2, 5 ・田上貴寛4 ・平松浩二1 ・鏡味裕1 ・小野珠乙1


1 信州大学農学部 上伊那郡南箕輪村 399-4598
2 信州大学 大学院総合工学系研究科 上伊那郡南箕輪村 399-4598
3 京都大学 大学院理学研究科 京都市 606-8502
4 畜産草地研究所 つくば市 305-0901
5 国立遺伝学研究所 三島市 411-8540

始原生殖細胞(PGCs)移植による生殖系列キメラの産出には、レシピエント胚の生殖腺内へのドナー由来PGCsを取り込みが重要である。軟X線の照射の際に、鉛板をニワトリ胚体に置くことで、ニワトリ?ウズラ生殖系列キメラ産生のためのレシピエント胚の孵化率や内在性PGCsの増殖抑制効果の改良を試みた。ステージ13-17において、軟X線を120秒間照射(約7.2Gy)したとき、鉛板保護胚及び非保護胚の孵化率は、それぞれ35% (106/301)及び26% (27/105)であった。ステージ13胚に照射したとき、ステージ30における保護胚及び非保護胚の生殖腺PGCs数は、それぞれ非照射胚の13%及び 5%に減少した。PGCsを含むウズラ血液をステージ13?14のニワトリの保護胚及び非保護胚へ移植したとき、ステージ30の胚の生殖腺には、両者とも非照射群の2倍以上のドナー(ウズラ)由来のPGCsが観察された。ヒナの生殖腺からもサザンハイブリダイゼーションとPCRによりウズラDNA特異的産物が検出された。鉛板保護したステージ13の胚に7.2Gyの照射が、孵化率が高く、内在性PGCsを増殖抑制させる最適な条件であった。軟X線の胚体外への照射は、内在性PGCsの減少や生殖系列キメラの産出に効果的な方法であることが示された。

キーワード: キメラ、胚培養、始原生殖細胞、軟X線、ニワトリ、ウズラ





ニワトリヒナ中枢におけるニワトリ、ブタ、ヒトおよびウシ?インスリンの摂食抑制効果の比較

白石純一1)・柳田光一1)・西川文也1)・田原有紀1)・藤田正範1)・John P. McMurtry2)・豊後貴嗣1)


1) 広島大学大学院生物圏科学研究科、東広島市 739-8528
2) 米国農務省農業調査部局, MD 20705-2350, USA

 中枢性インスリンによるニワトリヒナの摂食抑制効果について、アミノ酸配列の異なる各種インスリンを用いて比較した。ニワトリ?インスリンの側脳室内投与は、自由摂食条件下のヒナの摂食量を抑制させた。ブタ?インスリンの場合、投与60および120分後において摂食抑制効果は認められたものの30分では示されなかった。ヒトおよびウシ?インスリンでは、有意な抑制効果は認められなかった。絶食したニワトリヒナを用いてニワトリおよびブタ?インスリンの摂食抑制効果を比較したところ、ニワトリ?インスリンの方が効果は強いことが示された。ニワトリヒナにおける中枢性インスリンの摂食抑制効果は、ニワトリ>ブタ>ヒト>ウシの順となった。以上の結果から、インスリンのA鎖8?10番目およびまたはB鎖のC末端側のアミノ酸が中枢性インスリンの活性において重要であることが示唆された。

キーワード:中枢神経系、インスリン、アミノ酸配列、ニワトリヒナ、飼料摂取量

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