2011年(48巻)第1号【HTML】

  第1号(和文誌)

研究報告

J1 褐色卵産卵鶏における画像解析による肉斑の評価 (要旨)
奥村友美・宇野覚・樫孝英・田村勝視・榊原豊一・宮田透・上本吉伸・小林栄治・谷口慎

技術報告

J6 地鶏や野鶏等の貴重家禽から分離した始原生殖細胞 (PGCs) の凍結保存の試み (要旨)
伊藤なつき・川越雄太・斉藤靖史・佐藤直人・斉藤美緒・力丸宗弘・辻本恒徳・斉藤文也・松原和衛

解説・情報・資料

J14 地方産業活性化のための卵用鶏と肉用鶏の作出
西藤克己

WPS ジャーナル抄録

J24-29
採卵鶏の育種戦略:概説
A.K.Thiruvenkadan, S.Panneerselvam and R.Prabakaran W.P.S.J. 66(3):477-501. 2010.

初期栄養給与計画
Y.Noy and Z.Uni W.P.S.J. 66(4) 639-646. 2010.

ガチョウにおける人工授精
E. ?ukaszewicz W.P.S.J. 66(4):647-658.2010.

ニワトリの遺伝的多様性と系統起源
M.Eltanany and O.Distl W.P.S.J. 66(4):715-726. 2010.

飼料中のアルギニン:代謝,環境,免疫,生理との相互関係
F.Khajali and R.F.Wideman W.P.S.J. 66(4):751-765. 2010.

鶏病、卵肉経済ニュース

J30 農林水産省から新しい飼料原料の栄養価の暫定値が公表される
日本科学飼料協会 米持千里 

J32 鳥インフルエンザの拡大を防ぐトランスジェニック鶏の開発
動物衛生研究所 小山 卓美・佐藤国雄

J36 2011年度春季大会演題

J40 学会記事



 

要 旨

 


第1号(和文誌)



褐色卵産卵鶏における画像解析による肉斑の評価

奥村友美1,2・宇野覚1・樫孝英1・田村勝視1・榊原豊一1・宮田透1・上本吉伸2・小林栄治2・谷口慎3

1家畜改良センター岡崎牧場 愛知県岡崎市大柳町字栗沢1 444-3161
2家畜改良センター 福島県西白河郡西郷村大字小田倉字小田倉原1 961-8511
3農林水産省,東京都千代田区霞が関1-2-1 100-8950

肉斑とは鶏卵内に見られる卵内異物であるが,その測定方法は,主に出現頻度が用いられており,客観的かつ量的に肉斑を把握する評価法が確立されていない。 また,肉斑は,白色卵よりも褐色卵の中に多くみられるが,褐色卵を生産する品種間の差については,これまでほとんど報告がなかった。本研究では,褐色卵を 生産する3品種(ロードアイランドレッド,白色プリマスロックおよび横斑プリマスロック)の肉斑形質として,出現頻度だけでなく,画像解析により肉斑の大 きさ(平均ピクセル数)を数値化する方法を試みた。また,得られた画像から,肉斑出現頻度と平均肉斑ピクセル数を調査し,更に肉斑の出現頻度と大きさとの 関連性について,それぞれ品種間での差異を比較・検討した。使用した個体は,各品種で28羽とした。測定は,214日齢から30日間に産卵した全ての卵を 割卵し,デジタルカメラにより撮影した後,肉斑出現頻度および平均肉斑ピクセル数を算出した。品種間の比較では,産卵率について有意差は見られなかった が,肉斑出現頻度および平均肉斑ピクセル数で品種間に有意差がみられた。特に,横斑プリマスロックは,他の2品種と比較して,肉斑出現頻度(39.6%) が有意に高く,また,平均肉斑ピクセル数(110.8ピクセル)も有意に高い値を示した。次に,産卵率,肉斑出現頻度および平均肉斑ピクセル数の間の相関 関係を検討したところ,肉斑出現頻度と平均肉斑ピクセル数との間に3品種とも高い正の相関(0.648~0.717)が認められた。これらのことから,画 像解析により得られた平均肉斑ピクセル数は,肉斑形質を評価する一つの指標となりうること,また,褐色卵を生産する鶏品種間で,肉斑形質に明らかな違いが あることが示唆された。

キーワード:褐色卵を生産する鶏品種,ニワトリ,肉斑形質,画像解析,ピクセル数



地鶏や野鶏等の貴重家禽から分離した始原生殖細胞 (PGCs) の凍結保存の試み

伊藤なつき1、川越雄太1、斉藤靖史1、佐藤直人2、斉藤美緒3、力丸宗弘4、 辻本恒徳5、斉藤文也6、松原和衛1

1.岩手大学大学院農学研究科、岩手県盛岡市上田3-18-8 020-8550
2.岩手県畜産研究所、岩手県滝沢村砂込737-1 029-0173
3.福島県畜産研究所、福島県福島市荒井18 960-2156
4.秋田県畜産試験場、秋田県大仙市神宮寺13-3 019-1701
5.盛岡市動物公園、岩手県盛岡市新庄60-18 020-0803
6.小岩井農牧株式会社小岩井農場技術研究センター、岩手県雫石町丸谷地36-1 020-0507
 卵細胞の長期保存が困難なニワトリにおいて、始原生殖細胞 (Primordial Germ Cells ; PGCs) は遺伝資源の保存のための有効な細胞である。本研究では、ニワトリで確立されたPGCs凍結保存技術とキメラ作出技術が、東北地域で飼養されている地鶏や 動物園で展示されている野鶏等の貴重種に対して有効か否かを検討した。凍結・融解したPGCsを含む各鶏種の細胞集団は生存率を解析した後、培養を行って 細胞の増殖の確認とPGCsの同定を行った。また、PGCsを採取した際に保存した体細胞からDNAによる性判別を実施した。さらに、凍結したPGCsを 含む細胞集団が生殖系キメラ作出のためにレシピエント胚に移植可能かを検討するため、PKH-26で標識したドナーPGCsの追跡を試みた。
 DNAによる性判別はすべての個体で正常に解析され、PGCsは当研究室の液体窒素に半永久的に保存するとともに、性別データ等はコンピューターに記録 保存した。凍結・融解におけるPGCsを含む懸濁液の細胞生存率は65.6?80.9%であり、培養後には細胞の増殖が観察された。培養された細胞は、 PAS染色、抗SSEA-1、抗PGC-IgGに陽性であり、PGCsを含むことを確認した。また、PKH-26標識ドナーPGCsを移植した白色レグホ ン (WL) の生殖腺を凍結切片にして蛍光顕微鏡下で観察したところ、PKH-26の蛍光を発するPGCsが確認された。
 したがって、本研究で凍結保存したPGCsは生殖巣への移動能を有しており、トリインフルエンザ等の有事にはWL等を用いて貴重な品種を復元することが 可能であることが示唆された。また、PGCsの性別を明らかにしてPGCsバンクのデータとして保存することにより、同性キメラの作成が容易になり、キメ ラ作出の際にキメリズムの向上が期待できる。

キーワード:PGCs、遺伝資源、貴重家禽、PGCsバンク

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