2011年(48巻)第2号【HTML】

第2号(和文誌)

研究報告

J49 サトウキビ抽出物の飼料添加がオイルアジュバンドワクチンを頚部皮下接種された採卵鶏の生産性およびストレス指標に及ぼす影響 (要旨)
巽 俊彰・佐々木健二・西 康裕

J58 会津地鶏の五色羽装とSLC45A2遺伝子上の変異との関係(要旨)
大竹剛・佐藤妙子・國分洋一・上本吉伸・佐藤周史・奥村友美・小林栄治

J63 烏骨鶏と白色レグホーンにおけるプロラクチン遺伝子領域周辺の連鎖不平衡ブロックについて(要旨)
岳 佳妮・松田莉朋・ローシャン ジャーハン・下桐 猛・穴井豊昭・和田康彦

J69 低リン・低エネルギー飼料に対する大腸菌由来フィターゼの添加がブロイラー雛におけるリンの利用率および栄養価に及ぼす影響(要旨)
橋元康司・飯田真希・藤崎浩和・青木 健・花積三千人・米持千里・Yingjun Ru ・三ツ矢展明

WPS ジャーナル抄録
J75-J80

家禽生産のための放牧システム
E. N. Sossidou, A. Dal Bosco, H. A. Elson and C. M. G. A. Fontes, W.P.S.J. 67 (1) :47-58. 2011.

ブロイラー種鶏における福祉の問題点
I. C. De Jong and D. Guémené, W.P.S.J. 67 (1) :73-82. 2011.

2025年におけるヨーロッパの家禽生産:将来のシナリオから学ぶこと
C. Jez, C. Beaumont and P. Magdelaine, W.P.S.J. 67 (1) : 105-113. 2011.

筋胃:機能,飼料中の構造体の影響と栄養素の利用性
B. Svihus , W.P.S.J. 67 (2) : 207-223. 2011.

アミノ酸による組織代謝の操作
S. Tesseraud, N. Everaert, S. Boussaid-Om Ezzine, A. Collin, S. Metayer-Coustard and C. Berri, W.P.S.J. 67 (2) : 243-251. 2011.

鶏病、卵肉経済ニュース
J81 エコフィード利用畜産物認証制度
日本科学飼料協会 米持千里 


J82  2011年度秋季大会演題
J84  学会記事
J101  項目及び人名索引
J103  48巻総目次

 



 

要 旨

 



第2号(和文誌)


(研究論文)
サトウキビ抽出物の飼料添加がオイルアジュバンドワクチンを頚部皮下接種
された採卵鶏の生産性およびストレス指標に及ぼす影響

巽 俊彰1・佐々木健二2・西 康裕2


1三重県中央家畜保健衛生所,三重県津市一身田上津部田1742-1
2三重県畜産研究所,三重県松阪市嬉野町 515-2324


白色レグホーン系採卵鶏へのオイルアジュバンドワクチン(OEV)の頚部皮下接種によるストレス発現ならびにサトウキビ抽出物20%製品(SCE)の飼料添加によるストレス軽減効果について、生産性およびストレス指標に及ぼす影響を検討した。
 試験1では、92日齢でのOEV頚部皮下接種の有無による区分で検討した。その結果、OEV頚部皮下接種による増体重の低下が1日間認められた。産卵初 期では産卵個数および産卵重量への影響が軽度ながら認められ、飼料要求率が無ワクチン区に比べ劣る傾向が認められた。ストレス指標である偽好酸球/リンパ 球(H/L)比およびα1酸性糖蛋白値は、接種後8時間、1日、35日に無ワクチン区に比べ有意に上昇した。試験2では、84日齢に2種類のOEV頚部皮 下同時接種の有無ならびにSCE0.05%飼料添加の有無による区分で検討した。その結果、2種類のOEV頚部皮下同時接種により増体重の低下が7日間、 飼料摂取量の低下が21日間認められたが、SCEの飼料添加により改善された。また、産卵初期では産卵率、産卵日量、飼料摂取量、飼料要求率への悪影響が 認められたが、SCEの飼料添加により改善された。一方、H/L比は接種後1日~42日、α1酸性糖蛋白値は接種後8時間~21日で有意に高く、SCEの 飼料添加によりH/L比、α1酸性糖蛋白値とも接種後1日~21日で有意に高かったが、両区間に有意な差は認められなかった。
以上の結果より、OEV頚部皮下接種によるストレス発現期間が明らかとなった。さらに、SCEによる2種類のOEV頚部皮下同時接種ストレスに対する生産 性改善効果は、ワクチン接種ストレス自体の緩和ではなく、腸絨毛の機能の活性化に基づく飼料摂取量の増加や飼料成分の吸収力の向上に起因することが推察さ れた。

キーワード:α1酸性糖蛋白,H/L比,採卵鶏,オイルアジュバンドワクチン,サトウキビ抽出物



(研究論文)
会津地鶏の五色羽装とSLC45A2遺伝子上の変異との関係

大竹剛1・佐藤妙子2・國分洋一2・上本吉伸1・佐藤周史1・奥村友美1・小林栄治1


1独立行政法人家畜改良センター 福島県西白河郡西郷村大字小田倉 961-8511
2福島県農業総合センター畜産研究所養鶏分場 福島県郡山市富田町字満水田 963-8041

会津地鶏は、福島県の特産銘柄鶏の素材鶏として保存されており、五色羽装を有している。近年、SLC45A2遺伝子が銀笹羽装に関与していることが報告さ れている。本研究では、SLC45A2遺伝子上の銀笹羽装に影響を与える変異と大型会津地鶏(会津地鶏×白色プリマスロック)の五色羽装との関連性を調査 した。用いた集団は、大型会津地鶏雄および赤笹羽装を示すロードアイランドレッド(RIR)雌を親世代としたF2個体雌204羽である。SLC45A2遺 伝子上のアルビノ形質に影響を与えるフレームシフト変異(S36fs)および銀笹羽装に影響を与える2つの非同義置換を伴うSNP変異(Y277Cおよび L347M)について遺伝子型判定を行い、F2個体の羽装との関連性を調査した。調査した親世代とF2の集団では、S36fsについて、アルビノ形質を示 す遺伝子型は得られなかった。しかしながら、Y277CおよびL347Mについては、各アリルが完全に連鎖不平衡となっており、親世代である大型会津地鶏 とRIRでは銀笹羽装を示すハプロタイプ(Silver型)および赤笹羽装を示すハプロタイプ(Wild型)が完全に分離していた。F2集団204羽の羽 装は、五色羽装100羽、赤笹羽装99羽および白色羽装5羽と、アルビノ型を持たないにも関わらず白色羽装個体が存在した。そのため、劣性白色遺伝子であ るTyrosinase遺伝子について遺伝子型を調査したところ、白色羽装を示す個体はすべてTyrosinase遺伝子による影響であることが確認され た。F2集団で五色羽装を示す個体はすべてSilver型であったが、赤笹羽装を示す個体の中にもSilver型である個体が5羽認められた。本研究で は、五色羽装を示すすべての個体がSilver型を持っていることから、SLC45A2遺伝子が大型会津地鶏の五色羽装に影響を及ぼしている可能性がある ことが示唆された。

キーワード:SLC45A2遺伝子、会津地鶏、アリル頻度、五色羽装



(研究論文)
烏骨鶏と白色レグホーンにおけるプロラクチン遺伝子領域周辺の連鎖不平衡ブロックについて

岳 佳妮1・松田莉朋1・ローシャン ジャーハン1,2・下桐 猛3・穴井豊昭1・和田康彦1


1佐賀大学農学部、佐賀県佐賀市本庄町 840-8502
2鹿児島大学大学院連合農学研究科、鹿児島県鹿児島市郡元 890-8580
3鹿児島大学農学部、鹿児島県鹿児島市郡元 890-8580


白色レグホーンのプロラクチン遺伝子のプロモーター領域には、烏骨鶏や赤色野鶏には認められていない24-bpの挿入が存在する。また、大分県畜産試験場 の烏骨鶏選抜集団第4世代の311羽にはIn/In型の個体は存在しないことが報告されている。そこで、本研究では烏骨鶏の就巣性と産卵率の改良を目的と して、プロラクチン遺伝子領域の周辺に1塩基多型マーカーを開発し、烏骨鶏と他の鶏品種との間での連鎖不平衡ブロックについて検討した。24-bpの挿入 の有無に加えて、プロラクチン遺伝子の転写開始点上流(cPRO1d; -3764)と転写終了点下流(cPRO5b; +607, cPRO2b; +3643)の3か所の1塩基多型について、日本各地から収集した烏骨鶏53羽、日本在来品種19羽、レイヤー23羽、その他の品種22羽の遺伝子型判定 を行った。その結果、cPRO2bでは烏骨鶏の遺伝子型はGG 37羽、GA 14羽、AA 2羽であり、レイヤーではGG 0羽、GA 1羽、AA 22羽であった。cPRO5bにおいても烏骨鶏でGG 36羽、GC 13羽、CC 4羽であり、レイヤーでは全個体がAA型であった。烏骨鶏とレイヤーとの間のχ2値はcPRO1dで24.0、In/Del変異で76.0、cPRO5b で59.9、cPRO2bで62.9とすべて有意であることからプロラクチン遺伝子領域周辺に連鎖不平衡ブロックが存在することが明らかとなった。一方、 烏骨鶏とその他の品種の間のχ2値は全てのマーカーで有意ではなかった。しかし烏骨鶏と日本在来品種との間ではIn/Del変異とcPRO5bにおいて 5%水準で有意であった。また、レイヤーとその他の品種の間およびレイヤーと日本在来品種の間のχ2値は全て1%水準で有意であった。

キーワード: 烏骨鶏、プロラクチン遺伝子、連鎖不平衡ブロック、1塩基多型、就巣性



(研究論文)

低リン・低エネルギー飼料に対する大腸菌由来フィターゼの添加がブロイラー雛におけるリンの利用率および栄養価に及ぼす影響

橋元康司1・飯田真希1・藤崎浩和1・青木 健1・花積三千人1・米持千里1・Yingjun Ru 2・三ツ矢展明3


1日本科学飼料協会, 東京都中央区新川 104-0033
2 Danisco Animal Nutrition, Singapore Science Park II Singapore 117525,
3ダニスコジャパン, 東京都千代田区霞ヶ関 100-0013

 低非フィチンリン(npP)・低代謝エネルギー(AMEn)飼料に大腸菌由来フィターゼを添加した場合のブロイラー雛におけるリン(P)の利用率および AMEn価の改善効果について検討した。試験区は,トウモロコシおよび大豆粕を主体とした正の対照飼料(粗たん白質(CP);21.5 %, AMEn;3,000 kcal/kg, カルシウム(Ca);0.95 %,npP;0.45 %),CPは同一で,正の対照飼料よりPおよびCaをそれぞれ0.12 %,AMEnを150 kcal/kg低下させた負の対照飼料(CP;21.5 %, AMEn;2,850 kcal/kg,Ca 0.83 %,npP 0.33 %)および負の対照飼料に大腸菌由来のフィターゼを500フィターゼ単位(FTU)/kg添加した飼料を給与する計3区を設定した。供試雛は,ブロイラー 専用種初生雄雛240羽を用い,各区に80羽(10羽×8群)ずつ割り付けて餌付け時より3週間不断給与により飼育した。試験開始時および試験終了時の体 重、ならびに毎週の飼料摂取量を調査するとともに,試験終了前4日間の排泄物を採取して各供試飼料のAMEn,乾物,窒素(N),PおよびCaの排泄率を 調査した。さらに,試験終了日に各区の16羽ずつから脛骨を採材して灰分含量を測定した。
 その結果,負の対照区の発育および飼料要求率は正の対照区より有意に劣ったが,大腸菌由来フィターゼの添加により改善される傾向を示した。また,負の対 照区の実測AMEnは正の対照区に比べて190 kcal/kg低かったが,大腸菌由来フィターゼの添加により実測AMEnは270 kcal/kg高まった。さらに,負の対照区の乾物,PおよびCaの見かけの蓄積率は正の対照区に比べて有意に低く,脛骨灰分含量も有意に低かったが,大 腸菌由来フィターゼの添加により乾物,N,PおよびCaの蓄積率は有意に高まり,脛骨灰分含量も有意に増加した。

キーワード:大腸菌由来フィターゼ,ブロイラー,リン利用率,代謝エネルギー

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