2010年(47巻)第1号【HTML】

 第1号(和文誌)

研究報告

p.J1-7 市場流通形態の検体を用いた比内地鶏のDNA識別手法の有効性の検証(要旨)
力丸宗弘・高橋秀彰

p.J8-13 中性次亜塩素酸水の浸漬および噴霧による消毒効果の検討(要旨)
巽 俊彰・後藤正和

p.J14-21ウズラのためのコチニール残渣の栄養価(要旨)
崔 勇権・佐藤勝紀・国枝哲夫・及川卓郎・市 隆人

p.J22-26乾燥杜仲投与による鶏免疫活性向上効果の検討(要旨)
桑守正範・内田光教・目瀬守男

技術報告

p.J27-32メチルアセトアミドを凍結保護剤として用いたニワトリ精液の凍結保存(要旨)
榛澤章三・新實竜也・宮田 透・筒井真理子・田島淳史

WPS ジャーナル抄録

総説 ブロイラーにおける給餌計画
F.Shariatmadari W.P.S.J 65(3):393-400.2009

より高い産卵成績とより良い卵質を目指したビタミン給与による生産性改善
G.M.Weber W.P.S.J 65(3):443-458.2009

紫外線照射に対する家禽の反応
P.D.Lewis and R.M.Gous W.P.S.J 65(3):499-510.2009

ブロイラー及び産卵鶏の生産性に及ぼす塩水飲水の効果
T.E.E. Abbas,E.A.El-Zubeir and O.H.Arabbi W.P.S.J 65(3):511-516.2009

カンボジアにおける人民生活と高病原性鳥インフルエンザ
S.Ear and S.Burgos Caceres W.P.S.J 65(3):633-640.2009

鶏卵品質における産卵鶏の福祉:欧州の視点
E.N.Sossidou and H.A.Elson W.P.S.J 65(3):809-718.2009

鶏病、卵肉経済ニュース

p.J40 2008年における遺伝子組換え作物の栽培状況   
日本科学飼料協会 米持千里

p.J41-43  新型インフルエンザウイルスで若年者の発症や重篤例が多い理由は グリコシル化修飾HAによる抗原原罪説で説明可能である
動物衛生研究所 小山 卓美・佐藤国雄

p.J44-46 2010年度春季大会演題

p.J47-49 学会記事



要 旨

 


第1号(和文誌)


市場流通形態の検体を用いた比内地鶏のDNA識別手法の有効性の検証
力丸宗弘1・高橋秀彰2

1 秋田県農林水産技術センター畜産試験場, 大仙市神宮寺,019-1701
2 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構畜産草地研究所, つくば市池の台,305-0901
比内地鶏のDNA識別手法の有効性を検証するため、5つのマイクロサテライトDNAマーカー(ABR0241, ABR0311, ABR0633, ADL0250, ABR1003)を用いて、比内地鶏の各部位15検体(もも肉、むね肉、ささみ、心臓、肝臓、砂肝、脾臓、首肉、手羽元、手羽先、尻(ぼんじり)、心臓上 部(つなぎ)、軟骨、皮、脂)、加工品32検体(ガラスープ、くんせい、みそ漬け、しお漬け、しょうゆ漬け、チキンソーセージ)、その他の肉用鶏341検 体(ブロイラー95検体、銘柄鶏9種類60検体、地鶏33種類186検体)のDNA識別を行った。比内地鶏の各部位および加工品の識別では、全ての検体に おいて5マーカーのPCR増幅が確認され、それぞれのマーカー型を判定できた。各検体が示す各マーカー型は、比内地鶏と矛盾しなかった。また、ブロイラー および銘柄鶏は、全検体、比内地鶏ではないと否定することができた。地鶏186検体のうち、14検体(7.5%)は、比内地鶏が示すマーカー型と矛盾せ ず、比内地鶏ではないと否定することができなかった。しかしながら、特定の地鶏の全検体が、本DNA識別手法をすり抜けるということはなかった。以上の結 果から、市場に流通する部位肉、内臓、加工品全てに比内地鶏のDNA識別手法を応用可能であること、および5マーカーの調査によって、ブロイラーおよび銘 柄鶏は容易に比内地鶏と識別できることが示唆された。

キーワード:比内地鶏、マイクロサテライトDNAマーカー、DNA識別、加工品、市場流通

 


中性次亜塩素酸水の浸漬および噴霧による消毒効果の検討
巽俊彰1・後藤正和2

1三重県畜産研究所,三重県松阪市嬉野町 515-2324,
2三重大学大学院生物資源学研究科,三重県津市栗真町屋町 514-8507

 鶏舎壁面や飼育器材への付着、および鶏舎に浮遊する粉塵等の有機物に付着した病原体による感染症を防除する対策として、器材の浸漬消毒や鶏舎内の噴霧消 毒がある。本研究では、次亜塩素酸ナトリウム水溶液を塩酸でpH7.0に調整した中性次亜塩素酸水(以下NAHSと記す)の浸漬および噴霧消毒液としての 有用性を4つの試験により検討した。最初に、Salmonella Enteritidis に対するNAHS(残留塩素濃度50、80、200ppm)の試験管内消毒効果を調べた。対照として既存の消毒剤である[モノ、ビス(塩化トリメチルアン モニウムメチレン)]アルキルトルエン製剤、塩化ジデシルジメチルアンモニウム製剤(以下消毒剤Bと記す) の0.05%液と0.2%液を使用した。その結果、残留塩素濃度50ppm 以上のNAHSおよび消毒剤B 0.2%液は、有機物が共存していても10秒以内に菌は検出されなかった。次に、NAHS(残留塩素濃度90ppm )および消毒剤B 0.2%液の噴霧が、ろ紙に付着した黄色ブドウ球菌(以下SAと記す)数・大腸菌(以下ECと記す)数に及ぼす影響を有機物が共存した条件で検討した結 果、消毒剤B 0.2%液ではSA数が2.16×105CFU/ml、EC数が2.72×105CFU/mlに対し、NAHSではSA数が2.24×104CFU /ml、EC数が4.40×104CFU/mlであった。また、有機物が共存した条件で飛散したSA数・EC数に及ぼす影響を検討した結果、1分間の感作 時間で消毒剤B 0.2%液ではSA数が134CFU、EC数が112CFUに対し、NAHSではSAが検出されず、EC数が10CFUであった。さらに、飛散したSA数 に及ぼすNAHSの噴霧による影響を検討した結果、1分間の感作時間で無噴霧の1114CFUに対して、NAHS(残留塩素濃度50ppm)の噴霧量が 5mlでは79CFU、10mlでは26CFU、20mlでは6CFUで、噴霧量の増加に伴い、菌数の減少する傾向が認められた。以上の結果から、 NAHSは浸漬および噴霧による消毒効果が認められた。今後は、養鶏分野におけるNAHSの適切な濃度、浸漬時間および噴霧量などを検討する必要がある。

キーワード: 大腸菌、黄色ブドウ球菌、サルモネラ、消毒、中性次亜塩素酸水


ウズラのためのコチニール残渣の栄養価
     崔 勇権1・佐藤勝紀1・国枝哲夫1・及川卓郎1・市 隆人2

1 岡山大学大学院自然科学研究科, 岡山市津島中1-1-3, 700-8530
2 三栄源エフ・エフ・アイ㈱ 岡山工場, 岡山県真庭市赤野570, 719-3126
  本研究は,魚粉の代替として岡山県真庭市にある三栄源エフ・エフ・アイ㈱ 岡山工場で生産されるコチニール残渣の栄養価について検討した。実験1では, コチニール残渣ならびに魚粉と置換して作成したコチニール残渣配合飼料の栄養成分について測定した。実験2では,コチニール残渣配合飼料を6週齢時のウズ ラの雌雛に給与し, その後の成長と産卵形質に及ぼす影響について検討した。コチニール残渣の栄養価は粗蛋白質66.4%,粗脂肪10.5%,粗灰分3.9%であった。コチ ニール残渣の粗蛋白質含量は魚粉よりやや高い値を示した。しかしながら,コチニール残渣では粗灰分含量は非常に少なく,特に,Ca,P,K,Na,Mg含 量は顕著に低い値となった。コチニール残渣配合飼料でのCa,P含量は魚粉配合飼料に比較して低い値を示したが,アミノ酸含量は魚粉配合飼料と同等であっ た。6週から29週齢まで,ウズラを用いての対照飼料(魚粉配合飼料)と魚粉の100%を代替したコチニール残渣配合飼料での飼育試験の結果,コチニール 残渣配合飼料では卵重,飼料摂取量および体重は対照飼料に比べて劣った。しかし,魚粉の50%を代替したコチニール残渣配合飼料では対照飼料に比較して, 産卵率,卵重(28週齢時は除く),飼料摂取量,飼料要求率および体重は有意差が認められなかった。以上のことから,ウズラにおいては産卵期間では魚粉の 半量をコチニール残渣と代替することができることが明らかになった。

キーワード:コチニール残渣,栄養成分,ウズラ, 代替,魚粉

 


乾燥杜仲投与による鶏免疫活性向上効果の検討
桑守正範1・内田光教2・目瀬守男1

1美作大学短期大学部栄養学科,岡山県津山市北園町50 708-8511,
2タカラ産業株式会社杜仲開発部, 岡山県津山市国分寺118-4 708-0843
 杜仲葉全画分、杜仲葉非水溶性画分のいずれかを家禽後期肥育用飼料に3%混入したものを実験飼料とし、生後100日の「おかやま地どり」に21日間投与 した。対照として一般飼料で飼育した群も設けた。健康状態の指標として全血ヘマトクリット値を、ストレス負荷の指標として全血偽好酸球 (heterophil) //リンパ球(lymphocyte)比(H/L比)を測定した。また免疫反応の指標として末梢血マクロファージの貪食能、ならびに走化性を、NK細胞活 性の指標として末梢血リンパ球におけるCD8α+細胞の発現を測定した。 実験飼料投与により、体重増加量、全血ヘマトクリット値に有意差は見られず、健康状態における変化は観察されなかった。また、実験飼料投与により、ストレ スの指標となる全血中のH/L比が低下したことから、乾燥杜仲葉投与によるストレス軽減効果の可能性が示唆された。末梢血マクロファージの貪食能ならびに 走化性は対照群と比較して杜仲葉全画分試料投与群、杜仲葉非水溶性画分試料投与群ともに有意に上昇した。一方、CD8α+細胞の発現も、対照群と比較して 杜仲葉全画分試料投与群、杜仲葉非水溶性画分試料投与群ともに有意に上昇した。これらの結果により、乾燥杜仲葉投与による免疫能活性化効果の可能性が示唆 された。

キーワード:おかやま地どり、杜仲、免疫、リンパ球、 CD8α+

 


(技術報告)

メチルアセトアミドを凍結保護剤として用いたニワトリ精液の凍結保存
榛澤章三1,2・新實竜也1・宮田透1・筒井真理子1・田島淳史3

1 独立行政法人家畜改良センター岡崎牧場,愛知県岡崎市大柳町栗沢1,444-3161
2 独立行政法人家畜改良センター兵庫牧場,兵庫県たつの市揖西町土師954-1,679-4017
3 筑波大学農林技術センター,茨城県つくば市天王台1-1-1

ニワトリ精液の凍結保存法の改善を目的として,凍結保護剤にメチルアセトアミド(MA),ジメチルホルムアミド(DMF),ジメチルアセトアミド (DMA)およびジメチルスルホキシド(DMSO)を用いてそれぞれ凍結精液を作製し,1羽につき毎週1回の融解精液の注入を4週間続けて行い受精率を比 較した(実験1)。また,MAとDMSOを凍結保護剤にそれぞれ用いた凍結融解精液によって毎週2回の人工授精を7週間続けて受精率を比較した(実験 2)。凍結精液は凍結保護剤を含まない1次希釈液で2倍希釈し,30分静置した後,凍結保護剤を含む2次希釈液でさらに2倍希釈した。この希釈精液を 0.5mLストローに充填して,液体窒素液面上4~4.5cmで30分間静置後,液体窒素中に投入し保存した。融解は5℃水中で行い融解後直ちに卵管膣部 に融解精液0.3mL(精子数約3億)注入した。実験1による平均受精率は,MA区,DMF区,DMSO区,DMA区でそれぞれ 60.8%,47.6%,41.3%,32.9%であり,凍結区の中ではMA区が最も高く他の凍結保護剤を用いた区との差はいずれも有意であった (P<0.05)。融解精液注入後からの日数の経過に伴う受精率の推移は,新鮮精液を注入した場合と比較して,日数の経過に伴い急激な下降を示し た。実験2における平均受精率は,MA凍結区,DMSO凍結区でそれぞれ70.5%, 38.8%であり,有意な差がみられた(P<0.001)。一方,非凍結区は,凍結保護剤の添加に関係なく高い受精率を示した。週ごとの受精率は MA凍結区において最高が81.3%,最低が61.1%,一方でDMSO凍結区において最高が54.0%,最低が27.0%であり,同じ凍結保護剤を用い た場合においても受精率に大きな変動がみられた。また,この受精率の変動は,週の経過に伴い低下しなかった。以上により,MAはニワトリの凍結精液を作製 する際において優れた凍結保護効果が認められ,連続注入による悪影響も少ないことが示唆された。

キーワード:メチルアセトアミド,ニワトリ,精液,凍結保存

ページトップへ

このホームページの著作権は日本家禽学会に帰属します。無断転載・転用は禁止いたします。
このホームページに関するご希望は e-mail: jpsa-s@naro.affrc.go.jp