2010年(47巻)第2号【HTML】

 第2号(和文誌)

 

研究報告

p.J65  トリ肉腫および白血病ウイルスのレセプター遺伝子TVAにおける品種間の遺伝子型およびアリル頻度の解析(要旨)
佐藤慎一・大竹剛・上本吉伸・山本力也・宮田透・鈴木恒平・山下秀次・三橋忠由・小林栄治

p.J71  ニワトリの排卵周期中における卵胞重量の増加と顆粒膜プラスミノーゲン・アクチベーター活性との関係 (要旨)
武石勝・安住水穂・西田沙世・山村奈美子・後藤尚也・土井 守・上吉道治

p.J78  羽性遺伝子型の違いによる名古屋種雄の羽性形質の特徴 (要旨)
中村明弘・神作宜男・近藤 一・野田賢治

p.J85  遅羽性(K)遺伝子が名古屋種雌の羽性形質および生産形質に及ぼす影響 (要旨)
中村明弘・石川 明・神作宜男・長尾健二・石代正義・近藤 一・野田賢治

WPS ジャーナル抄録

J92-97

家禽の抗生物質の代替としての卵黄中抗体の応用
M. Yegani and D.R.  W.P.S.J.66(1): 27-37. 2010

産地効果と消費者認識の相互関係に関する調査
R. Stra?ek W.P.S.J.66(1): 39-51. 2010

孵卵温度による孵化率と屠体成績への影響
M. Yalcin, E. Babacanoglu, H. C. Guler and M. Aksit W.P.S.J.66(1): 87-93. 2010

餌付の遅延と孵化の延長:初期栄養の重要性
H. Willimsen, M. Debonne, Q. Swennen, N. Everaert, C. Careghi, H. Han, V. Bruggeman, K. Tona and E. Decuypere W.P.S.J.66(2): 177-188. 2010

IgY – 動物とヒトの受動免疫源としての卵内免疫成分
M.E. Cook and D.L. Trott  W.P.S.J. 66(2):215-225. 2010

鶏病、卵肉経済ニュース

p.J98  農林水産省から新しい飼料原料の栄養価の暫定値が公表された
日本科学飼料協会 米持千里

p.J100  豚においてパンデミックH1N1/2009インフルエンザAウイルスの再集合が生じた
動物衛生研究所 小山 卓美・佐藤国雄

p.J102  2010年度秋季大会演題

p.J105  学会記事

J111  項目及び人名索引

J113  47巻総目次





要 旨

 


第2号(和文誌)



トリ肉腫および白血病ウイルスのレセプター遺伝子TVAにおける品種間の遺伝子型およびアリル頻度の解析
佐藤慎一1・大竹剛1・上本吉伸1・山本力也1・宮田透1・鈴木恒平2・山下秀次3・三橋忠由4・小林栄治1

1独立行政法人家畜改良センター 福島県西白河郡西郷村小田倉 961-8511  
2農林水産先端技術研究所 茨城県つくば市上横場字一杯塚 305-0854
3東海大学農学部 熊本県阿蘇郡南阿蘇村河陽 869-1404 
4独立行政法人農業生物資源研究所 茨城県つくば市観音台 305-8602

TVA遺伝子は、トリ白血病肉腫ウイルスサブグループA(ASLV-A)に対する感受性および抵抗性を決定する遺伝子であり、感受性および抵抗性を示す変 異(それぞれa型およびb型(4bpの挿入))が報告されている。本研究では、TVA遺伝子の変異について、独立行政法人家畜改良センターで保有している ニワトリの遺伝子型頻度およびアリル頻度を調査した。本研究で供試したニワトリ品種・系統群は、白色レグホン(01系統および11系統)、ロードアイラン ドレッド(YS系統)、白色プリマスロック(LA系統)、横斑プリマスロック(XS系統)、ライトサセックス、アローカナ、名古屋種、三河種および軍鶏で ある。遺伝子型は新たにプライマーを設計し、得られたPCR産物の電気泳動パターンから判定した。また本研究では、これまでの報告以外のアリルが検出され たため、各アリルについて塩基配列を決定した。本研究で用いた9品種10系統の集団から、全部で7つの遺伝子型が検出された。本研究において、a型および b型アリル以外に、Genbankで登録されているc型(7bpの挿入)および新規のd型(6bpの欠損)アリルが検出された。本研究から、白色プリマス ロック(LA系統)、ライトサセックス、アローカナ、名古屋種およびロードアイランドレッドでは、完全に遺伝子型aaで固定されており、白色レグホン (11系統)については、遺伝子型頻度0.98とほとんどの個体が遺伝子型aaであることがわかった。また、白色レグホン(01系統)では、遺伝子型bb に完全に固定されていた。軍鶏では、遺伝子型acおよびccが同程度の割合で存在していた。横斑プリマスロック(XS系統)および三河種では、遺伝子型 aa、adおよびddが存在していた。このように本研究から、TVA遺伝子について新規の変異が検出され、集団間で多様性を示すことが明らかとなった。

キーワード:TVA遺伝子、遺伝子型頻度、ニワトリ白血病ウイルス、抗病性、ニワトリ




ニワトリの排卵周期中における卵胞重量の増加と顆粒膜プラスミノーゲン・アクチベーター活性との関係
武石勝1・安住水穂2・西田沙世2・山村奈美子2・後藤尚也1・土井 守3・上吉道治2

1日本配合飼料株式会社中央研究所 飼料畜産開発センター, 栃木県芳賀郡茂木町 321-3621
2 岐阜大学農学部, 岐阜県岐阜市柳戸 501-1193
3 岐阜大学応用生物科学部, 岐阜県岐阜市柳戸 501-1193

ニワトリにおいて、顆粒膜のプラスミノーゲン・アクチベーター(PA)は、卵胞の急速成長相における顆粒層細胞の増殖と細胞外マトリクスの再構築に関与す ることが知られているが、約1日の排卵周期中における卵胞重量の増加への関与については未だ十分には明らかにされていない。そこで本実験では、排卵周期中 において3時間毎に卵胞重量と顆粒膜におけるPA活性を測定することにより、排卵周期中の卵胞重量増加への顆粒膜PA 活性の関与の可能性を検討した。 使用したニワトリは、50週齢の白色レグホーン種産卵鶏で、14時間照明の下で、水と餌を自由に摂取させた。これらのニワトリから、排卵周期の3時間毎 に、最大卵胞(F1)と2番目に大きい卵胞(F2)を採取した。卵胞は重量を測定した後、顆粒膜を単離した。単離した顆粒膜のPA 活性は色素性合成基質を用いる方法で、DNAはジフェニルアミン法の変法で測定した。 卵胞重量は、F1とF2共に、F1 の排卵22-23時間前から排卵10-11時間前に相当する時期にかけて順次増加し、その後はほぼ同じ値で推移した。顆粒膜のDNA含量は、周期中の時期 間における差異のみならず、F1とF2における間にも差異は見出されなかった。排卵周期中においてDNA当たりに換算した顆粒膜PA活性は、F1とF2共 に、F1の排卵22-23時間前から16-17時間前に相当する時期にかけて有意に増加し、排卵13-14時間前まで高い値を維持した後、排卵4-5時間 前に相当する時期にかけて徐々に低下した。前後の時期における平均卵胞重量の差から求めた卵胞重量増加量は、排卵周期中においてF1とF2と共に、顆粒膜 PA活性における傾向とほぼ同じ傾向を示した。 これらのことは、顆粒膜PA活性と排卵周期中における卵胞重量の増加の間に相関関係があることを示している。

キーワード: プラスミノーゲン・アクチベーター、顆粒膜、排卵周期、卵胞重量、ニワトリ




羽性遺伝子型の違いによる名古屋種雄の羽性形質の特徴
中村明弘1・神作宜男2・近藤 一1・野田賢治1

1愛知県農業総合試験場畜産研究部, 愛知県愛知郡長久手町岩作 480-1193
2麻布大学獣医学部, 神奈川県相模原市中央区淵野辺 252-5201

  本研究は名古屋種雄における遅羽性(K)および速羽性(k+)遺伝子が育成期の羽根の伸長に及ぼす影響を明らかにするため、遅羽性・ホモ接合体 (K/K)、遅羽性・ヘテロ接合体(K/k+)および速羽性(k+/k+)の遺伝子型間で認められる羽根の長さの差異について調査した。さらに、同じ遅羽 性を示すK/KとK/k+の間で顕著な差がみられる羽性形質を指標にして、K/Kだけを効率的に区分できる手法について検討した。 試験1, 2では、それぞれの遺伝子型の雄について孵化時の第2副翼羽と2~12週齢時の尾羽の長さを調査した。その結果、孵化時の第2副翼羽の長さおよび2~6週 齢時の尾羽の長さはK/K、K/k+、k+/k+の順に短く、各遺伝子型間には有意差が認められた(P<0.01)。さらに、K/KとK/k+につ いては8~12週齢時の尾羽の長さにおいても有意差が検出され(P<0.01)、特に、8および10週齢時においては顕著な差が認められた。そこ で、試験3では、8および10週齢時の尾羽の長さが雄の遅羽性集団からK/K個体だけを区分するための指標として利用できるか検討した。その結果、8週齢 時に7 cm以下の個体は96.6 %、10週齢時に8 cm以下の個体は100 %の精度でK/Kと判定できた。このように、尾羽の長さによるK/KとK/k+の判定法は容易であるため、DNA解析技術と組み合わせて利用することで、 名古屋種の遅羽性系統の造成や維持が効率的になると期待できる。

キーワード:ヘテロ接合体、ホモ接合体、名古屋種、尾羽、翼羽




遅羽性(K)遺伝子が名古屋種雌の羽性形質 および生産形質に及ぼす影響
中村明弘1・石川 明2・神作宜男3・長尾健二1・石代正義1 ・近藤 一1・野田賢治1

1愛知県農業総合試験場畜産研究部, 愛知県愛知郡長久手町岩作 480-1193
2名古屋大学大学院生命農学研究科, 愛知県名古屋市千種区不老町 464-8601
3麻布大学獣医学部, 神奈川県相模原市中央区淵野辺 252-5201

本研究ではPCR 法によって羽性遺伝子型を決定した遅羽性(K/w)と速羽性(k+/w)の名古屋種雌を用いて、遅羽性(K)遺伝子が羽性形質および生産形質に及ぼす影響 を明らかにした。 試験1ではK/wとk+/wの間で育成期の第2副翼羽の長さ、尾羽の長さおよび体重を比較した。その結果、2~4週齢時の第2副翼羽および2~10週齢時 の尾羽の長さにおいて、K/wはk+/wに比べて有意に短かった。一方、2~20週齢時の体重はK/wがk+/wに比べて有意に軽かった。 試験2では血縁関係が明らかな産卵期のK/wとk+/wを用いて、体重、初産日齢、卵重、卵殻強度、卵殻色および産卵率を測定した。重回帰分析によって羽 性遺伝子型と各生産形質との関連性を検討した結果、羽性遺伝子型間の有意差が250日齢の体重と210日齢の卵重で認められた。  以上のことから、名古屋種雌においてK遺伝子は体重と卵重に影響することが示唆される。そのため、名古屋種の遅羽性系統を造成する際には体重と卵重の減 少に留意して改良を実施する必要がある。

キーワード:体重、卵重、羽性遺伝子型、名古屋種、PCR

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